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 2005年 第1回定例議会議事録
<要旨>
 2005年度八王子一般会計および特別会計ならびに関連議案について討論(反対)
2005年度八王子市一般会計および各特別会計ならびに関連諸議案について、反対の立場から討論を行います。
市長はこの6年間で最も厳しい財政状況のなかでの予算編成であり、予算化に当たっては、効率性、効果性、緊急性の視点から検討を加えたと説明されました。そのような中で、 議会でのさまざまな議論を踏まて、学校物品予算の増額、校舎の耐震補強工事、改築の前倒し、学校トイレの改修等、市民ニーズが予算として反映されていることは高く評価いたします。また、今回のごみの有料化実施説明会を初めとして、企業訪問など、山積する課題に対して、市役所一丸となってとりくんでいることは、市民にとっても、市役所の仕事が見えるようになってきたという印象を与え、自治の機運も芽生えてきているといえます。しかし、まだまだ市民ニーズの実感には近づいていないということを指摘せざるを得ません。

まず歳入についてですが、 歳入の大黒柱である市税収入は 昨年度比、1,1%増の828億4300万円が計上されています。主に、配偶者特別控除の上乗せブンの廃止の影響による個人市民税の増収であり、また、販売業、サービス業の業績回復による法人市民税の増収とされている。しかし、16年度補正予算では、市税に関しては、給与所得の減、ならびに製造業の減収によるものとして、9億円あまりが減額補正とされています。
景気は回復期に向かっているといわれていますが、中小企業の多いわが市においては、まだまだ、先行き不透明です。
しかも市税収入については、人口は増える、しかし生産人口は横ばいという認識を示していることから、予算案に示された市税収入についての見通しは、決して楽観できるものではありません。また、収入率98%というのも、昨年の市税収納率が26市平均の92,9%とほぼ同じ、92,8%になったことを考えると、一層の努力が求められるものであるとともに、それだけ市民生活が依然として厳しい状況であるということも認識しなければなりません。

地方債残高は、市長就任以来、2700億円近くまで縮減され、市民一人当たりの負担が減少してきたことは歓迎すべきことです。2005年度をみるならば、市債依存度は、5,2%で、ゆめおりプランで示された、上限枠以内におさまっているのですが、一般会計に繰り入れられた財制調整基金の取り崩しが10億あり、これは貯金の取り崩しです。しかも2004年は減税補填債の一括償還があったことから、市債高が高くなっていたのですが、その分を除くと、依存率は3,7%です。今年度は昨年に比べて大幅な市債依存率のアップであり、特に土木債の額が前年度比で20億円も増額されています。生保世帯の増加、個人市民税の落ち込み、それに加えて、国保負担のアップや税金のアップなどと、明るい兆しが見えない中、大事な貯金を取り崩し、かつ土木債の大幅増は、枠組みからいって市民の生活を守る取り組みといえません。後年への負担を増やすだけです。
「入るを図りて、いずるを制する」、といったスタンスが、多額の支出を伴う大型開発に依存していることに起因しているからほかなりません。

教育費については、先ほども述べたように、教育環境の施設整備が進んできました。しかし 防犯カメラの設置については、その効果性、効率性、費用対効果について、疑問があります。「地域に開かれた学校」を模索する中で、改めて、<安全とはなにか?」といったことを考え、機械に頼らない、安全対策の実施を進めていっていただきたいと思います。
ハード面の整備に比較して、予算化されていないのがマンパワーの充実です。特別新教育の推進にも、学力向上にも、特色ある学校作り、読書指導にも人手が足りません。せめて、高尾山学園並みの人的配置が望まれるところです。

子育て支援についてです。待機児童が毎年700名以上もいることを考えると、就労形態の多様化や共働き家庭の増加による保育需要に十分こたえるものとなっていません。予算案からは、家庭福祉員の充実という新たな展開は見られるとはいえ、抜本的解決とはいいがたい。保育サービスの充実が3割の子どもたちの子育て支援であるといわれますが、就労支援であるということが第1儀的な目的であることを忘れてはなりません。虐待等、子どもたちを取り巻く諸々の社会問題の解決に向けての相談機能の充実、地域子ども家庭支援センターの設置等は、高く評価できますが、あくまでも対処療法であるということから、根本的解決の一つとしての就労支援は欠かせないということを改めて強調します。

就労支援はまさに、働きたいと願う誰にも行き渡るものでなければなりません。特に障がい者や高齢者、生保世帯への援助は行政が積極的に支援しなければならないことです。
しかし、残念ながら、2005b年度予算編成からは、こういった行政の姿勢が汲み取れません。特に扶助費や介護保険への繰り出し金が増加している中、積極的な自立支援、就労支援で扶助費等の支出に歯止めをかけることも可能となってきます。
若者への就労支援、職業学習支援などの取り組みを評価いたします。農業体験、林業体験といった分野へも発展させていっていただきたい。

ごみの有料化、ごみゼロ作戦についてです。
ごみの削減として、今のところ、効果を発揮しているごみの指定袋制度ですが、多くの自治体で見られるようなリバウンド現象をきたさないようするためにも、発生抑制に対する、積極的な取り組みが必要です。再三議会で議論されている生ごみの堆肥化に対する取り組みが本予算からは見えてきません。一層の努力とスピードある対策を期待します。

農林業についてです。本市は、東京の農地面積の1割を有し、野菜生産高は25億円です。
地産地消をベースにした循環型社会形成に向けて、一層の期待が寄せられている分野です。
つまり、環境破壊による開発を前提としない産業振興策でもあるからです。
生産緑地地区の拡大にあわせて、農業者の後継者育成、自立支援等、持続可能な農業へと脱皮するための施策展開がはかられることが必要です。援農ボランティアの仕組みづくりに期待するところですが、PRをはじめとした発信力がまだまだ不十分です。今後に期待します。
林業については、八王子産材の切り出しが行われ、利用促進の取り組みが始まったところです。予算としては現れていませんが、費用対効果をみながら、施策展開をしていっていただきたい。

男女平等施策についてです。センターの運営をはじめ、ドメスティックバイオレンスへの対応、相談体制の強化等、一つ一つ進んできています。しかし、今後、男女共同参画社会の形成に向けての取り組みとしては、さまざまな分野でのジェンダー視点による取り組みが必要です。スポーツ振興においてもしかり、男女画がともに子育てにかかわる仕組み整備においてもしかり、です。そのためにも職員の意識啓発、庁内連携をより強固にしていただきたい。

次にみどりの保全についてです。2005年度からのミニ公募債の発行、みどりの保全基金の創出、そして市街地のみどり保全の条例設定等は、まさにこれから環境と共生していくまちづくりにとって、大きな弾みとなるといえますが、その一方で、環境破壊ともいえる物流拠点構想や北西部幹線道路計画は、こういった取り組みと矛盾するものといえます。
また、中央道インター北地区の商業地区としての整備計画、JR八王子駅南口再開発と新市民会館建設は、緊急性、効果性、そして費用対効果の観点から見て、いまだ、十分に検討されるべき材料が整っていません。この1年余りの議会での議論を見てもそれは明らかなことです。
今、一定程度以上の公共事業は、住民投票のような住民の意見を聞く必要があるという議論もなされてきています。この背景には、2007年度から三位一体改革の中で、借金としての起債が許可制から協議性になり、しかも協議が成立しなくても、議会の承認があれば起債ができるからです。借金を引き受けるのは、市民です。もちろん、議員一人一人は、市民の代弁者として、議会活動を行っているのですが、すべてのことについて、白紙委任されているわけではないということも自明のことです。

最後に日の丸、君が代の強制についてです。
先ほど、教育現場へのマンパワーの予算配分が十分ではないということを述べました。
そのなかで、市負担の教育指導主事2名の増員が2005年度も計上されています。
学校への訪問が増えた、という効果が語られましたが、それが教育委員会による教育内容への不当な介入、管理の強化につながることを懸念します。通達、職務命令という強制で、卒業式、入学式での日の丸、君が代斉唱が、事細かに支持されています。憲法で保障された内心の自由を侵す、侵さないという平行線の論議になっているところですが、この議論をさておいても、健全な批判力を育てることも教育の役割であることを考えると、強制を教育の場に持ち込んではいけない。国を愛することが、壇上正面に日の丸を掲げて、ピアノ伴奏で君が代を歌うことであると、誰が決めたのでしょうか。学習指導要領にも、国旗、国家法にも書いてありません。しかも昨年7月の東京新聞のアンケートに答えて、7割の人が、<教職員の起立義務付けを行き過ぎ、義務付けるべきではないと答えています。自分の意見が絶対であるとするところから、全体主義への傾斜が始まります。
一人一人、多様な意見がある、多様な生き方がある、そして誰もが自分の意見を表明する権利がある、、ということを認め合うことから、風通しのいい社会が形成されるのです。このことは、これからの地域づくり、コミュニティつくりの基本でもあることを指摘して、反対討論を終わります。

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