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2003年 第3回定例議会議事録
   <要旨>
1.学校跡地施設の有効活用、特に地域密着型施策の実現に向けて
(1)旧殿入小学校の転用経過
(2)当面の学校跡地施設利用の具体策
(3)恒久的な活用政策とその実施主体の形成に向けて
2.女性専門外来の必要性とその支援
(1)女性専門外来の必要性―千葉・東京の動き―
(2)八王子市の中核病院への働きかけと補助
3.市民会館建設に向けての動きとその妥当性
(1)市民会館検討委員の募集とその役割
(2)本当に今、必要なのか
  市民会館の改築、八王子駅南口駅前広場の整備―特にペデス  トリアンデッキの検証―
(3)情報公開の必要性と施策の透明性のためにすべきこと
【9番陣内泰子議員】 女性議員の質問が続いております。しかし、当八王子市議会の女性議員の比率は、まだわずか25%です。もっと女性議員がふえるよう頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  では、発言通告に従いまして、一般質問させていただきます。
 1つは、統廃合によって使われなくなった学校施設の活用についての質問です。  小中学校が統廃合によってそっくりそのまま空き施設、廃校となるケースが、少子化や人口構成の急激な変化の中で見られるようになって久しいことです。平成4年から平成13年までに発生した廃校数は、小中高等学校合わせて全国で2,125校に上っています。このような中、こういった学校施設を有効に使っていこうとする動きも活発になってきています。港区のみなとNPOハウスは新聞でも有名なところですが、ここは学校そのままをすべてNPOに開放しているところです。私も、先日、ここで開かれたトークとライブの集まりに行ってまいりましたが、体育館での開催で、座布団持参、ビュッフェ形式の食事もあって、楽しいひとときでした。
 さて、文部科学省は、平成15年4月に、廃校リニューアル50選選定結果報告書を出しています。それによると、最も多い使われ方として、もとの教室や体育館などを改修して、地域の人々の教育活動を担う社会教育施設、社会体育施設として活用している。これが全体のほぼ45%に当たっています。そのほかの使われ方として、体験交流施設や備蓄倉庫などへの転用も見られています。他の学校への転用例は1.2%となっています。
 人口52万のこの八王子市においても、全般的な少子・高齢化の中で、地域によって人口の構成年齢の偏りが見られ、みなみ野地区のようにまだ学校建設が行われているところもあれば、既に学校の統廃合が行われる、そういう地区もあらわれてまいりました。我が市における小学校の統廃合による学校空き施設第1号が旧殿入小学校です。この旧殿入小学校の転用としては、来年度の開校を目指して、今、高尾山学園という名称で、小中学校一貫の不登校の子どもたちのための学校としてリニューアル進行中です。まさに、他の学校への転用の一例です。  そこでお伺いいたします。この旧殿入小学校の転用の決定がどこでどのように行われたのでしょうか。そして、高尾山学園としてリニューアルするに当たって、学校の補修等整備にはどのくらいの費用がかかりましたか。お伺いいたします。
 八王子市内の小中学校がこのような統廃合によって学校全体が空き施設となる例は、これからもふえてくることが予想されます。そのときの意思決定、政策決定のあり方を考える上で必要であるので、お聞きいたします。  さて、2番目です。女性専門外来開設についての質問です。  現在、女性医師による診療を希望する女性がふえ、臓器別になっている現在の医療に対して、女性としてトータルに全体像をとらえて、診療、治療できる外来を望む声が高まってきています。そんな中、女性外来の開設が相次いでいます。全国の都道府県立病院の第1号として、2001年9月に女性専門外来をスタートさせた千葉県立東金病院では、当初より予約が殺到、あっという間に400人にも及び、医師を1名から4、5名にふやし、また、診療も週1回から毎日に拡充したほどです。また、同じく11月にスタートした健康事業総合財団東京顕微鏡院女性のための生涯医療センターViVi、ここには視察に行ったこともありますが、大変静かな、落ち着いた雰囲気の中で問診がされるような環境が整っています。ここも約11ヵ月の間に8,055人もの女性が来所し、予約は3ヵ月待ちといった状態でした。
 なぜこのように女性専門外来が多くの女性たちの支持を得るのかと言えば、今までこういった医療の場がどこにもなかったからです。医師が男性だと気持ちや症状がわかってもらえない。また、デリケートな問題を含む場合も多く、男性医師だと話しづらいといった声も多く聞くところです。更年期の症状でもあるめまいやふらつき、のぼせ、いらいらなどを訴えても相手にされず、気のせいでしょう、我慢していれば、時間が来て更年期は終わるといった医師の言葉に傷ついたり、たらい回しにされたりする女性の声も多く聞いています。  そのような中で、女性専門外来を望む声が大きなうねりとなってきた背景には、女性の更年期に光が当たってきたこと、そして、健康についての考えが、健康とは単に身体に病気がないことを指すだけではなく、精神的にも、社会的にも良好な状態を指すといったWHOの定義が示すように変化してきたこと。また、女性の一生が、子産み、子育てで終わりということではなく、子どもを産まないという選択も含め、子どもを持ったとしても、子育て卒業後に自分の健康について考え直す時間が長くあり、社会活動を含めて、後半の人生の生きがいや楽しみなどについても考える時間とゆとりが出てきたこととも関係があります。
 また、若年層について言えば、初潮が早くなってきたこと、環境の影響などから女性ホルモンに対するトラブルも多く見られるようになってきたことも影響していると言えます。
 八王子市は、20歳以上の人口は約21万人となっています。市民の皆さんの健康と命を守る上で、いつでも、どこでも症状に応じた医療が受けられることが重要で、そのためにさまざまな保健医療施策が実施されてきているところですが、今までほとんど光が当てられてこなかったこういった女性の健康への配慮、女性専門外来の必要性についてどのようなお考えか、お聞かせください。
 ことし2月、病院対策特別委員会で、こういった女性外来について、他の女性議員からの質問に対し、病院は診断力が命で、診断力を選ぶか同性を選ぶのか、都立病院の間でも問題になっている。つまり、診断力には性差は必要ないといった御答弁で、女性専門外来といった範疇については後ろ向きとも思われる御答弁がありました。
 しかし、診断力も本当に重要な要素ではありますが、今、医療に求められているのは診断に必要な情報をどれだけ集めて、トータルな診断ができるかということではないでしょうか。元都立墨東病院周産期センター医長であった○○○○さんは、今や医療は単に死なない医療や技術の高さが求められているのではなく、温かい、患者の気持ちに寄り添った、きめ細かな医療が求められていると、このように言っています。しかも、都立病院では、患者中心の医療の推進のため、平成15年7月より、女性専門外来を都立大塚病院に開設し、また、平成16年度には墨東病院、府中病院での開設に向けて準備を進めている状況です。また、南部地域病院でも開設に向けての準備が始まるとも聞いています。しかし、八王子からは、このいずれの都立病院にもなかなか遠く、便が悪くなっています。
 このような状況の変化を踏まえて、市の保健医療基本計画の最終報告が出る前のこの時期に、女性専門外来に対する市の基本的なスタンスをお聞かせください。  そして、最後に、JR八王子駅南口再開発事業、特に市民会館の開設、建設、並びに駅前広場整備についての質問です。
 このJR八王子駅南口再開発事業につきましては、昨年6月、事業計画案が発表され、あっという間に市がその計画案にのっとって計画を進めることを承諾して以来、議会においても何度も質疑が繰り返されてきています。今議会においても、たくさんの方がこの問題を取り上げていらっしゃいます。重複になることもあるかと思われますが、それだけ市民の関心も高く、また、市の財政上から見ても大きな影響を与える事業であるからこその質問ゆえ、よろしくお願いいたします。
 今までの質疑の中で明らかになってきたことは、市民会館の建て替えは八王子21プラン──これは平成11年3月に制定されたものです。この中で、平成16年から20年までの後期計画として市民会館改築の基本計画が挙げられています。そして、公営企業法に基づき、ホールなどの耐用年数が45年とされていることから、市民会館の耐用期限は2007年であり、南口再開発事業の計画案の中で、市民会館とのセットでの開発、また、最近の傾向として、再開発事業において公共施設との重複計画が主流であることなどの理由で、建て替え計画を前倒しして実施するとの御説明でした。しかし、再開発事業の基本計画が、現在決まっていないということもあってのことか、今回、示されましたゆめおりプランの実行編には予定事業としてこの市民会館改築の計画も事業費の内訳も示されていません。
 そのような中で、7月1日の市報で、市民会館検討委員会の委員の募集が行われました。この時期にこのような募集を行った理由、何を検討してもらうのか。募集した検討委員をも含め、どのような構成メンバーになっているのか。また、この記事が7月1日号の市報であるということは、いつの段階で、この市民会館検討委員の公募を決め、記事として広報へ提供したのかをお聞かせください。  市報には次のように書かれています。新たに整備する施設をよりよいものにしていこうと、市民会館検討委員会を設置。市民委員を募集しますとなっています。任期は来年3月までで、四、五回の会議開催予定となっています。この記事を読む限りでは、もう既に市民会館の建設は決まっていること。だから、どんな市民会館にしたいのかの意見を募るといった趣旨です。それも四、五回の会議で100億円規模の工事の中身を決めようというのですから、幾らスピードが大事と言っても性急過ぎる感じがいたします。
 第1回の質問をこれで終わります。お願いいたします。

【水野直哉学校教育部長】 私の方から、旧殿入小学校の高尾山学園への転用の決定経過についてお答えいたします。
 平成14年3月19日、当時の政策会議におきまして、不登校児童、生徒のための小中一貫校の設置を決定いたしました。その際、学校の開設場所につきましては旧殿入小学校を活用する、そういったことで決定したところでございます。
 また、高尾山学園への転用にかかる補修整備費用でございますが、現在、工事を進行中でございます。耐震工事、施設改修合わせて、約1億1,000万円の費用がかかるところでございます。

【和田武雄健康福祉部長】 私の方から、女性専門外来の必要性についてお答え申し上げます。
 ホルモンバランスの変化などによります女性特有の身体症状や、働く女性のストレス等によります心身の変調などにつきまして、女性医師により性の違いを考慮した診断、治療を行う専門外来の医療ニーズがあるということにつきましては承知しているところでございます。

【白柳和義市民活動推進部長】 私の方からは、市民会館の検討委員会に関する御質問にお答えいたします。  まず、委員の公募時期についてでございますが、これは、再開発準備組合が平成16年上期の着工を予定していたため、そのスケジュールに合わせて、平成15年度中に市民会館の基本的な事項をまとめ、基本設計等に反映させるためでございます。
 次に、検討委員会での検討事項でございますけれども、これは新たな市民会館が担う役割や機能、施設の内容及びその運営のあり方について検討をいただくものでございます。また、その構成メンバーでございますけれども、公募市民のほか、文化関連団体、学生の方々などを予定しております。
 最後に、公募を決めた時期及び広報掲載についてでございますが、これは6月中旬に決定したものでございます。ただ、広報への掲載依頼につきましては、記事の締め切りとの関係がございますので、それ以前から並行して準備を行ってきたものでございます。

【9番陣内泰子議員】 御答弁ありがとうございました。
 2回目の質問です。
 まず、旧殿入小学校、つまり今の高尾山学園への転用の決定は、まさにトップダウンによる意思決定とのお答えでした。では、先ほどの文部科学省の統計に戻りますが、児童館や保育園といった児童福祉施設、障害者福祉施設、高齢者の福祉施設への転用例も同じように数多く挙げられています。高齢者のデイサービスセンターとしての利用は1.8%となっています。こういった施設への転用が多く見られるにはわけがあるのです。学校建設においては、巨額の補助金が投入されているのですが、その国庫補助金の返還を要しない学校跡地並びに施設の転用例について、文部科学省は一定の基準を示しているからです。国庫補助金事業完了後10年を超えた校舎を公共用として、児童館や保育園、高齢者や障害者のデイサービスセンター、医療施設などに転用する場合には、補助金の返還が免除されるのです。
 この制度をフルに利用して、学校跡地を地域福祉のために活用している多摩市を視察してまいりました。多摩市は多摩ニュータウンとともに成長してきたまちであることから、早い時期に人口の急増、急減に見舞われ、平成6年3月には学校廃止第1号が出ています。それ以降現在までに6校の小中学校が廃止となり、教育施設複合施設として多くの市民に利用されてきています。平成14年までには約17万人の市民の方々が利用されているという数字も上がっております。まさに市民に密着した施設活用ができているあらわれとも言えます。音楽室などの特別教室も楽器を含めての開放という利便性のよさがこの数字となっていると思われます。
 私が訪問した旧西落合中学校では、シルバー人材センター、在宅介護支援センター、訪問看護ステーション、障害者通所施設が3つ、生きがいデイサービス、NPOセンターがそれぞれの部屋を利用していました。多摩市は、学校給食が自校方式でないので、給食施設がなく、シルバー向けのレストランや配食サービスがなかったのが残念でしたが、まさに地域に密着した有効な活用実践例と言えます。
 そこでお尋ねいたします。八王子市として、旧殿入小学校で経験したような学校跡地並びに建物の利用を、単にグラウンドや教室の市民開放にとどまらず、より積極的に進めていくお考えはありますか。お伺いいたします。そのときの市としての基本的なお考えをお示しください。
 多摩市を初めとした先行事例を参考に、地域で自分らしく生き生き暮らせるお年寄りのサポートや、また、八王子ならではの給食施設の活用及びNPOや障害者の作業所など、事務所機能としての活用、アイデア次第で、地域活性化、地域コミュニティの核として位置づけることもできます。特に給食施設の活用などでは、地域で働きたい人々を中心に、地場の野菜を使っての学校給食を提供する仕組みをつくれれば、仕事おこし、雇用対策、産業振興、給食の充実と、まさに一石四鳥です。このような視点をぜひ取り入れて対処していただきたいと思うのですが、この点もいかがでしょうか。市としての基本姿勢を踏まえて広く検討委員会のようなものも設置が必要かと思われますが、それもあわせて御回答ください。
 さて、女性専門外来については、医療ニーズを承知しているという御答弁でした。ぜひより一歩進んで、その必要性を認識いただきたいと思います。そして、平成14年1月に保健医療基本計画の中間のまとめが出されましたが、その中に小児、高齢者への対策が掲げられているにもかかわらず、女性への配慮がなされていないことが気になります。この基本計画のベースとなる保健医療計画の答申を出した地域医療懇談会のメンバー12名中、女性は市民公募のわずか2名だけで、また、庁内の地域医療体制整備検討委員会のメンバー14名中、女性は5名で、うち保健師2名、看護師1名といった技術職を含めての構成になっています。男女共同参画担当職員が入っていないのはなぜでしょうか。お聞かせください。
 というのも、平成11年に策定された男女が共に生きるまち八王子プランの中で、女性は、生理、妊娠、出産、更年期などの女性特有の問題を抱えていることから、身体機能に対応した健康管理が必要と述べており、また、リプロダクティブ・ヘルス・ライツの概念を啓発していくとともに、その視点に立って、女性の一生を通しての健康づくりを支援する体制を整備していく必要がありますとも述べています。
 さらに、このプランは現在見直しの作業に入っているのですが、見直しを検討している男女共同参画協議会が先月出しました提言書の中にも、女性の生涯にわたる健康管理として望まれる施策に、年代に応じた健康管理の支援、更年期女性の相談支援、心の健康についての相談体制の充実が掲げられています。こういった男女共同参画からの視点が保健医療基本計画に反映されていないということは今後の課題です。ぜひ実施段階での反映を強く要望いたします。
 また、この基本計画として、東海大学病院、八王子医療センターへの女性専門外来の設置を働きかけていただきたい、そのように思います。特に、東海大学病院は昨年4月のオープンで、まだ組織が全部固まっていない状況です。そのようなときであるからこそ、積極的に女性医師の採用を働きかけ、女性専門外来開設へ向けての理解を取りつけていただきたい。両病院は八王子の中核病院として位置づけていることから、市として財政的な支援を続けており、特に東海大学病院においては、先日の一般質問でも明らかになったように、71億円余りの補助が支出されているということです。
 千葉県の場合、民間医療機関が行う女性専門外来診療に対して支援もしているのですが、この新規施設の開設のための3病院に対しては、施設整備費及び医療用機器費として補助率3分の1で約4,000万円の補助、また、医師、看護師等人件費の補助として7病院分1,000万円の補助となっています。女性専門外来の開設、運営として多大な費用がかかっているわけではないということをこの数字は示しています。要はやる気と必要性に対する熱意にかかっているのではないでしょうか。
 女性医師は増加傾向にあるとはいえ、まだ全体の14.4%にすぎません。女性医師の獲得はなかなか難しいのが現実でしょうが、掘り起こし、再教育も含めて努力していただきたい。千葉の場合は、最初は内科の女性医師1人体制から始まったと聞いています。八王子の中核病院への働きかけを含めた女性専門外来の可能性についてのお考えをあわせてお示しください。
 さて、市民会館のことですが、この検討委員会の募集は6月中旬。既に6月議会でいろいろな議論がなされている、その前に決定し、募集をかけることが進められています。このようなことは、昨年6月以降、さまざまな議論がなされてきたこと、また、私も市議会議員としてその場にいた6月議会での南口再開発をめぐる議論等々が全く無視されて、あたかも何ら問題がないかのように、既成の事実だけが積み上げられて、進んでいっている状態とも言えますが、これでは全く議会の無視、市民無視のやり方ではないでしょうか。問題は山積みなんです。今議会でも推進、再考をといった両方の議論が出されています。私自身は、この市民会館、駅前広場をセットとした南口再開発事業のメリットや、市民の負担増といったデメリット、それらに対する妥当な説明が十分市民に示されていないということで再考を要望するものですが、今一つ一つまさにこの議会を通し、不透明なところを議論しているさなかです。こういった手順を踏んで、市民がどう判断するかがまさにこれからなのですから、先急いだ募集はぜひお改めいただきたいと思っております。
 駅前広場整備についてお伺いいたします。
 JR八王子駅南口駅前は、タクシー乗り場を初めとして人の流れ、車の流れが交差し、危ない状況になっています。多くの南口利用者にとっても、また、八王子市民にとっても、八王子の玄関である駅前が今のような状態のままでいいとは、だれも思っていません。市長も先日の一般質問で、南口をこのままにしておくことは許されないと御答弁されました。でも、だから、再開発事業をといった論理にはなりません。駅前を今のまま長い間放置してきたのは、まさに市の責任なんです。駅前を整備して人と車を分け、安全を確保しながら、住宅地へとつながる落ち着いた商店街を形成していくという選択も可能であったと思います。つまり、再開発ありきではなく、どう駅前を市民にとって利便性の高い、心地よいものにしていくのか。それをするのが市の役割です。それには、利用者である市民の声が十分に反映されなければなりません。警察との調整、道路交通法上の規制等さまざまな制約があると伺っていますが、市民の声を反映させる方策をぜひ考えていただきたい。
 今提案されているペデストリアンデッキも、市民の利便性にかなっているのかどうかも検討しなければならないことと思っております。松戸市駅前や立川駅に見られるようなこのペデストリアンデッキですが、地上部が死んでしまう、死角が多くできる、若者にとって魅力的ではあっても、お年寄りや子ども連れ、特に乳母車等の利用者にとって不自由を強いられるなどの意見も聞かれます。なぜペデストリアンデッキを採用するのか。計画段階からの市民参加による駅前広場整備といった手法を検討されたのかどうか、お聞きします。
 今、公共事業においても計画段階から市民参加によるワークショップなどで計画を練り上げていく方法が多く検討されています。どのような整備が必要なのか、限られた予算の中で何が必要なのかといった優先順位を市民との協働でつくり上げていくといった手法です。道路建設といったハードな分野においてもそうです。高知県の場合、高知市内にある県道の拡幅において、計画段階から市民参加で進めており、市民意見を極力反映させる。できないというせりふをやめようというスタンスで、警察や国土交通省との調整を地元自治体がとりながら、専門家も交えた市民参加のワークショップ方式でつくり上げたという道づくりの実践例もあります。そこを使う住民にとっての満足がいく公共事業、むだのない公共事業をやっていくためには、こういった計画段階からの市民参加の手法の採用しか考えられないと思っております。
 藤沢市でも住民参加による湘南台地区における公共事業の実践、また、岐阜県でも道路をつくるのが必要かどうかといったところから地区住民と話し合いながら進めていくという手法をとり、実践してきている例も報告されています。今や警察や道路交通法の規制がある道路建設や駅前整備などにおいても、でき上がった計画案に対して意見を言うだけではなく、計画そのものからの市民参加も当然である時代になってきていると言えます。この駅前広場についての市民参加のあり方、そして、ペデストリアンデッキの考え方についてもお伺いしたいと思います。
 これで2回目を終わります。

【水野直哉学校教育部長】 私の方からは、今後の学校跡地の活用方針についてお答えいたしたいと思います。  今後の学校跡地の活用方針につきましては、先ほど御答弁いたしました高尾山学園への転用以外につきましては、いまだ決定しておりません。学校跡地の恒久的な利用方法につきましては、国庫補助金の返還義務等を考慮しながら、市全体で検討し、総合的に判断していくべきものと考えております。

【田中正美総合政策部長】 私からは、廃校に係る検討委員会の設置についてお答えを申し上げます。
 当然、暫定利用から本格転用ということになれば、これはまずもって、その活用については行政の責務、特に市長部局の方でその基本的な考え方をまとめる必要があるだろうというふうに思っています。その上で、議会はもとより広範な市民の皆さんの御意見というものを拝聴するわけですけれども、御提案のあった検討委員会方式については、その中で検討してみたいというふうに思っています。

【和田武雄健康福祉部長】 私の方からは女性専門外来に関係しましてお答え申し上げます。
 まず、検討委員会に男女共同参画担当職員が参加していないということでございますが、これにつきましては医療行政に直接かかわっておりました所管の保健医療部と福祉部によって構成されたところでございまして、男女共同参画社会の形成につきましては全市的な政策課題でございまして、おのおのの職員がこのことを認識している、こういう見地から、参画を要請していないところでございます。
 それから、女性専門外来の設置の中核病院への働きかけでございますが、市では保健医療基本計画に基づきまして総合的な医療連携システムの整備に着手した段階でございます。大学病院には診断力が求められております。これらの分析も必要であろうと考えておりますし、また、マンパワーの確保の問題もあろうかと思います。当面は都立病院など周辺の状況を見守ってまいりたい、このように考えているところでございます。

【窪田和朗まちなみ整備部長】 私の方からは、南口の再開発にかかわります市民参加とペデストリアンデッキにつきまして御答弁申し上げます。
 まず、市民参加ということでございますけれども、この南口につきましては交通バリアフリー法が施行された段階で、既にワークショップで南口につきましては一定の成果を得たものがございますので、それを参考にしていきたいというふうに考えております。当然のことながら、今から設計するということでございますので、バリアになるものをつくるということはございませんので、先ほど言いました、交通バリアフリー法のワークショップを参考にしていきたいというふうに思っております。
 それから、手続的には市民参加につきましては都市計画法の手続の中で、改めて市民の皆さんの意見をいただきたいというふうに思っています。
 ペデストリアンデッキの採用理由でございますけれども、適用につきましては4つございますが、そのうちの2つをとってございます。1つ目は、橋上駅である八王子駅と再開発ビルの商業施設を直結するということでございます。それが1つ。それから、駅前広場の歩行者と車を立体的に分離するということで、安全で快適な歩行者の動線を確保することができるという、この2点で今回ペデストリアンデッキを採用してございます。

【9番陣内泰子議員】 御答弁いただきました。
 八王子の場合、来年3月に2つの地区で統廃合の合意ができ、グリーンヒル寺田地区での稲荷山小学校、鹿島・松が谷地区での三本松小学校が学校としての使命を終え、閉校となると伺っております。学校の統廃合には、学校の適正規模を踏まえるとは言いつつも、地域の方々との丁寧な話し合いが必要です。最初に統廃合ありきといった進め方にならないよう配慮することは当然であり、そのような結果としての今回の決定があるということを前提として稲荷山小学校の今後の運用計画をお聞かせいただきたいと思います。
 今、検討委員会を市の責任のもとで設置することも考えていくという御答弁がありましたが、そのような恒久的な方法と同時に、当面、すぐあらわれる空き学校を当座どう使っていくかということも必要になってきます。当面は今までどおり、校庭や体育館などの市民開放を維持されると思われますが、学校教育施設でなくなるということからも、市全体から見た転用への手順をお聞かせください。もしかしたら、これは先ほどの御答弁以上のことは出ないのかもしれませんが、もう一度お願いいたします。
 それで、設置委員会の検討もお考えいただけるということでありますが、その場合、多摩市の例を述べさせていただきます。多摩市の場合は、現在のような利用に当たって、最低限の補修を行い、暫定使用として位置づけ、さまざまな高齢者のデイサービスであり、また、障害者の作業所等に使ってまいりました。しかし、それはあくまでも暫定使用という形で、平成15年7月に検討委員会のトータルな報告がなされたばかりでした。多摩市の検討委員会の構成は、学識経験者5名、公募市民5名の計10名で構成されています。また、中間のまとめが出されたときに、市民全体に対してアンケートの募集を行い、また、市民向けフォーラムを開催し、そこで出された意見には最終報告に反映するかどうかのコメントをつけて、列記されています。このような市民参加、このような検討委員会もぜひ御検討いただきたいと思っております。
 さて、女性専門外来についてです。
 このような市民全体を対象とした保健医療基本計画の策定、その実施と遂行が先行というお考えであり、また、大学病院、中核病院では診断力が大切という御判断でありました。でも、今、市が一般女性に特化して行っている健康支援は、子宮がん検診、乳がん検診といった病気発見を目的とした検診業務だけです。働いている女性に対する健康支援は皆無と言っていいほどです。女性のライフスタイルが母子保健といった子産み支援だけにとどまらないほど多様になってきていることを再度お考えいただき、女性専門外来の開設を1つの始まりとして、思春期から更年期といった女性の生涯にわたる健康支援の体制づくりを早急に整備していただきたいことを要望いたします。
 ペデストリアンデッキのメリットについてもお伺いいたしました。しかし、今、この2点のメリット、そして、バリアフリー法のもとで建設するものであるならば、あえてバリアをつくるようなものは建設しないという御答弁でもありました。しかし、今までお年寄りや乳母車を引いた方々にとっては、階段を避けたいもの。現在の南口はエスカレーターが設置されて、それを利用している方々が、このようなペデストリアンデッキができることによって、エレベーターの利用になって限定されてしまうこと。そして、このようなエレベーターは、とかく見えにくいところにあったり、わざわざその場所を探さなければならない、このような不便も出てきます。そのようなために、利用する市民が中心になって検討することが市民との協働ではないでしょうか。先ほど都市計画法の中での市民の参加を促すという御答弁ではありましたが、警察、道路交通法、そのようなことも市民とともに直していく、検討していくという方法も御検討いただきたいと思っております。
 さて、次に、市民会館の建設についてです。今までの質疑の中で、駅前に持ってくるメリットとして、にぎわい、地域の活性化につながる。再開発事業が市民ホールなどの複合開発で行われている。足の便がよくなるなどと御説明がありました。しかし、本当でしょうか。今までどのような人々が市民会館を利用してきているのでしょうか。市民の芸術文化を高めるためにどれだけ市民会館が寄与しているのかをちょっと探ってみました。
 少し古い統計ですが、平成10年の市政世論調査の中に、文化芸術のことを聞いている項目がありました。その中では、ホール、劇場、映画館等の文化施設に1年間に1度でも行ったことのある人、その割合は47%になっていました。人口にすると、約23万人になります。しかし、その圧倒的多数はホールや劇場ではなく、映画館に行く人たちで構成されています。それも若い人たちはなかなかホールへと足を運んでくれません。しかも、市内の施設利用者はこのうちの約3割、年間で6万9,000人ほどとなっています。半数近くの人は、都内の劇場やホール、映画館へと出かけているのです。
 また、市民会館のホールの利用率は61%ですが、朝、昼、夜の3つの区分に分けて貸し出してあるので、それに従って利用率を積算しますと、45%にしかなりません。また、1,500人規模以上の利用団体は、年間の利用団体173件のうちの40件にとどまっています。ホールの入場者は年間16万人弱、月平均にして1万3,000人程度です。大学が21もある、若い人にとっての文化活動の支援、そのための市民会館をという御説明がありましたが、この調査を見る限りでは、このような若い人にとっての魅力ある市民会館に八王子の市民会館が該当しているとはとても思えないように感じられます。
 また、規模としてやはり2,000席は必要といった御説明もありましたが、それについても再考の余地があるのではないでしょうか。市民会館がどのように利用されてきたのか、まず、その分析をして市民に提示する必要があります。
 小中学校の改築との関係から見ても、市民会館建設の妥当性が揺らいでいます。市内には耐震建設施工前に建築された校舎が小中学校合わせて25校あり、必要予算は、現在進行中の七小を除いた24校で計算すると、平均費用概算額として約530億円。1年に1校ずつ改築していくと、全部終わるのが何と平成44年になります。しかも、改築は校舎だけではなく、プールや体育館も含めれば、さらに約92億円かかります。市民会館の費用は具体的に提示されていませんが、いちょうホールの建設費は土地取得分を除いて120億円近くかかっています。市民会館も2,000席のものをつくろうとするならば、これくらいはかかるのではないでしょうか。ましてこれからは、長く使えるものをつくって、大切に補修しながら使っていく時代でもあることを考えれば、それなりの整備も必要でしょう。
 市長は、初日の他の議員の一般質問に答えて、学校の改築も市民会館もどちらもやっていくと言っておられました。しかし、それだけの費用をどこから捻出なさるのでしょうか。そして、それは市民にとってどれくらいの負担になってくるのでしょうか。今までにも明らかにしてほしいとの議論があったにもかかわらず、具体的な見通しは御説明がされていません。市民会館は昭和37年の建設ですが、それ以前に建てられた小学校、中学校が7校もあります。せめて市民会館の建設に先立ち、これらの学校の改築を優先させること、それが市長がおっしゃった、どちらもやるといった言葉の中身ではないでしょうか。
 また、財政状況から市民会館を見てみたいと思います。本市は、まさに果敢な行財政改革に取り組み、たゆみない努力の中、そして、市民の我慢の上にスリム化を進めてきておりますが、それでもなお14年度末の地方債の残高は3,019億円で、15年度末には2,950億円程度になるとは言っても、市民1人当たり残額は約57万円、多摩26市中で2番目に高い借金を抱えている市になっております。しかも、借金はこれだけではありません。まさに厳しい状況は変わりません。いや、今以上に厳しい状況が控えているとも言えます。
 というのも、平成15年3月に出された財政白書から拾ってみると、減税補てん債として借り入れた平成7年度、8年度の返済、あるいは借りかえが120億円あり、そのための基金は14年度末で62億円となっています。この差額が平成17年度以降の借金の上乗せとなっています。また、職員の退職金の問題もあります。さらに、戸吹の最終処分場建設費用やエコセメント工場の建設運営費など大規模事業もたくさん控えています。こういった市の借金状況並びに返済計画を広く市民に示し、そして、市民会館の建て替えが必要なのかどうかを問う、そのようなステップをぜひ踏んでいただきたい。その際には、市民に対しどれだけの負担があるか、福祉サービス、教育サービスの低下といったデメリットも公表しながら、市民への判断を問うステップを踏んでいただきたいと思っております。絶対にやる、不退転の姿勢で臨むとおっしゃいますが、それでは市長の御回答をお願いします。

【黒須隆一市長】 第9番、陣内泰子議員の私に対する質問にお答えいたします。
 南口の再開発に伴う市民会館の改築の件でございますけれども、まず、その前に施策の優先順位をどういうふうに考えるかということですけれども、これは市民の皆さんの立場、あるいは年齢とか、置かれている環境によってさまざまだと思うんですね。そういう点で、よくいろいろな機会に耳を澄ませて、そして、優先順位というものをきちんと把握していかなきゃいけないんじゃないか、私は、実はそんなふうに思っております。
 今回の市民会館ですけれども、これは他の議員の質問にもお答えしましたけれども、確かに市民会館よりも前につくった学校もあります。だからといって、市民会館をやらなくていいということにはならないわけで、学校の方は学校の方で、きちんと年度計画を立てながら取り組んでいるわけで、今回の市民会館については、学校を無視してでもやろうということではないんです。たまたま再開発事業の中でやったらば、これは建設費も安くなるし、メリットがあるということ。それから、築後40年を経過して、できるときには多分45年ぐらいになるでしょう。そうすると、これはもう今の耐震ということを考えたらば、あるいはまた、建物の内容というものが40年前のニーズとは全く違うわけですから。ですから、そういう面で、この再開発事業に組み入れることによるメリットがあるという判断をしたから、今取り組みを進めているところでございます。ですから、この市民会館をつくることによって福祉や教育にデメリットが生じるんじゃないかというふうな御発言がございましたけれども、私は、メリットこそ生じても、そのことによってデメリットが生ずるというふうには全く考えておりません。その点はぜひ御理解いただきたいと思います。

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