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政党助成金制度の廃止を求める意見書
【9番陣内泰子議員】ただいま上程されました議員提出議案第10号、政党助成金制度の廃止を求め る意見書につきまして、提案説明を行います。
 この意見書は、八王子市民の方から政党助成金制度の廃止の意見書提出に関する請願が出されたこと をそのきっかけとしています。そして、この請願に賛同する議員との話し合いの中で、このような意見 書という形で提出させていただきました。
 まず、政党助成金制度とは、赤ちやんからお年寄りまでの総人口に年額250円を乗じた金額約300億円 もの税金を、政党交付金として、政党の得票数と議員数の2つの基準をミックスして、各政党に分配す るというものです。1994年に成立した政党助成法に規定されており、翌年の1995年から導入されていま す。この政党助成法は、政治改革と称して、小選挙区制へ選挙制度を変えることとセットで持ち出され たものであり、企業、団体と政治との利権構造を改革するため、企業団体献金を禁止し、そのかわりに 市民の支払う税金から政党に助成するというのがその趣旨で、企業献金に頼らず、政治浄化のため、あ るいは民主主義のコストなどとも称されて、導入されたものです。しかし、導入前からお手盛りとの批 判もあり、また、これを憲法違反であるとして受け取らない政党もあります。
 ところで、この法律の前提でもある企業献金禁止は実行されているのでしようか。いいえ。1999年の 改正政治資金規正法は、企業、団体が政治家個人に献金することを禁止しましたが、政党及びその支部 に対する企業団体献金を温存させました。そのことから、政党は議員や候補者、各選挙区ごとに政党支 部をつくり、企業団体献金の受け皿としているのです。さらに、こういった政党支部から政治家の資金 管理団体への寄附は制限されておらず、結果として、企業団体献金が政治家個人へと回っていき、政治 資金規正法は骨抜きとなっていると言えます。つまり、政党助成制度の導入から8年の間に、約2,500 億円もの税金が、日本共産党を除く、また、今では政党として活動していないところも含めて、各政党 に交付され、しかも、それに加えて、これも日本共産党以外の政党は、企業団体献金をも受け取ってい るのです。これがまさに二重取りとの批判のゆえんです。
 企業の政治献金については、2002年の収支報告によれば、デフレ不況に苦しむ企業が多い中、減少し ているとはいえ、トヨタ自動車6,440万円、ホンダ3,100万円などとなっています。さらに、日本経団連 は、政党の政策を評価する新手法で、来年から企業献金への関与を再開、政治への影響力を強める方針 をも出しています。
 9月12日、総務省は、2002年の政治資金収支報告書――中央分ですが、これを発表しました。これに よると、政党助成金は317億3,100万円でした。各政党の資金の中で、これら政党助成金の占める割合は 平均35.5%で、95年の制度導入以来、最高となっています。6割、8割といった政党もあり、個人献金 への努力がなされず、政党助成金への依存度を高めていることが見て取れます。こういった傾向に対し て、東工大学教授で政治学専攻の田中善一郎教授は、政党は自立の意識を持て。政党交付金は、本来、 個人献金が広まるまで企業団体献金の代替的な役割を果たすものとして登場したが、実際にはそのあて が外れ、国にぶら下がる形になっていると論じています。
 支出を見ても、この制度が民主主義のコストとして機能していないことがわかります。2002年におい ては、多額の金額が政党基金として積み立てられているのです。2001年末には約54億円であったところ、 2002年末には159億円にもなっています。本来なら使われなかった資金は国庫に返還されるべきもので すが、選挙用としてため込まれており、東京新聞は、国民の税金に基づくこの制度が、今や政党の金庫 と化しているとさえ報じています。
 また、今までにも助成金流用疑惑、政治活動以外での旅費、食費使用疑惑、観光旅行への使用等、問 題が続出しており、当初から懸念されていたことではありますが、現実問題となっています。  こういった税金の使われ方に、市民からの怒りの声が上がっています。奈良県の上牧町議会、定数16 名、ここは昨年12月、政党助成制度(政党交付金)の廃止を求める意見書を賛成多数で可決しています。 意見書の中で、国の財政が厳しいというのであれば、国民も一定の我慢もする。しかし、国政を担う政 党や国会議員が既得権益にしがみついているのであれば、国民は唯々諾々と承服できるものではない。 よって、政党交付金を直ちに廃止し、その財源を経済不況に苦しんでいる国民の生活に役立つ施策への 財源とすることを強く求めると言っています。こういった意見書は全国で3町1村から提出されていま す。
 また、新宿区町会連合会は、実効性の疑わしい政党助成金制度を直ちに廃止し、国民にとって緊急の 課題に振り向けるべきとの運動を開始しております。この秋に東京で行われます全国自治会連合会全国 大会で提案する予定とのことです。
 今、政治離れが急速に進んでいます。2002年のNHKによる政党支持率の調査によれば、58.5%の人 が支持政党なしと答えています。何と半数以上にも及んでいるんです。一番多い政党でも3割弱の支持 です。そのような中、一律に税金から政党助成金を配分するということは、国民にとって、自分が支持 しない政党にも意に反して自分の税金が使われることを意味しています。それも半数以上の人に当ては まり、これは強制献金ともいうべきもので、憲法19条で規定している思想及び良心の自由を根本的に踏 みにじることにもなります。導入当初から憲法違反との指摘もあった政党助成金制度ですが、8年の経 過の中で、政党、政治の浄化につながっていないことが明らかになり、また、長引く不況の中で母子家 庭への児童扶養手当の削減、高齢者医療費負担増など、財政難を理由とした福祉予算の削減が行われて きていることから、税金の使い方としての妥当性の疑問も出てきております。  国民の政治的意思は多様であり、政党の活動も本来的にはその政党を支持する個人の献金によって行 われるべきものです。政治に対する信頼を回復するためにも、公正で透明な政治運営でなければなりま せん。そのためにも、政党助成金制度の廃止を強く訴え、意見書を提出する次第です。

 何とぞ議員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げて、提案説明といたします。 【萩生田富司議長】 提出者の説明は終わりました。
 本案について質疑はありませんか。
                 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
【萩生田富司議長】 質疑なしと認め、進行します。
 本案については討論の通告がありません。
 これより議員提出議案第10号を採決します。
 本案は起立により採決します。
 本案は原案のとおり決定することに賛成の方の起立を求めます。
                    〔賛成者起立〕
【萩生田富司議長】 起立少数であります。
 したがって、議員提出議案第10号は否決されました。

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