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 2005年 第4回定例議会 本会議
決算討論

無所属・会派に属していない陣内やすこです。
2004年度八王子市一般会計および特別会計決算について、反対の立場で討論を行います。
2004年度も前年に引き続き、市税収入はマイナスで、813億円となっています。7年連続の減少です。歳入構成比率でみると、49,3%。50%を割ってしまいました。また、市税の要である市民税は、個人市民税、法人税合わせて前年よりマイナスで、357億円。減少額は10億4000万円です。内訳を見ると、個人市民税は300億円をはじめて割り込み、291億円、法人市民税も66億円で、前年に比べて、5000万円あまりの減少額です。法人市民税の落ち込みは、特殊事情ということで、構造的な問題ではないとのことですが、個人市民税においては、給与所得の減少が原因であり、これは不安定な非正規労働者の増加という大きな社会問題を背景にしており、国民健康保険の加入者の増でもそれは明らかです。市役所においても、例外ではありません。正規職員の数はどんどん減ってきています。今年度は65人の減、5年間のトータルで言うと452人ということです。その一方で、臨時職員、嘱託職員が増えています。
給与所得総額がプラスに転じてきたということで、明るい見通しを持っているとの認識ですが、高齢者の増加、生活保護世帯の増加といった、生産人口が増えない中で、給与所得総額がプラスに転じてきたということは、それだけ、所得格差が広がってきたということの現われでもあります。別な見方ですれば、行政課題が増えてきているということでもあります。こういった格差が広がる2極化していく傾向は、構造改革路線の中では修正していく力を持ちえず、セーフティネットのほころびは大きくなるばかりです。
こういった状況のなかで、地方自治体がすべきことは何か、ということが改めて問われていると言えます。地方自治体の任務は福祉の増進にあることを、改めて確認する時期に来ています。その意味で、開発型の投資的経費の抑制は一層求められるものであります。
さて、2004年度の大きな特徴的な事業展開は、ごみの有料化が始まったことです。担当課を始め、全庁をあげての取り組みによって、目標の25%減量を大きく上回る32,4%の減量という成果を達成できたことは評価いたします。しかし、税金の二重取りと言う批判もあるように、市民全体へ広く、あらたな金銭的負担増を強いるものであることから、その収支は厳しく精査されなければなりません。
私は、ごみの有料化に当たり、ごみ減量施策として、有料化以前にすべきことがあると指摘してきました。それはどうやってごみの資源化を図り、循環型社会にしていくか、発生抑制の仕組みをつくるか、ということですが、予算がないということで、指定袋収入をごみ減量施策に当てていくということでした。しかし、決算を見るならば、指定袋収入10億7500万円のうち、3億4千万円がただ燃やされてしまう指定袋製造費と啓発費用、資源分別に3億6千万円、そして、みどりの保全基金に1億5千万円で、ごみの焼却・破砕処理に1億7千万円、というものです。みどり基金に積み立てた1億5千万円を、どうして発生抑制の仕組みつくりに、当てられなかったのでしょうか。また、ごみの焼却・破砕処理には、今までは一般会計から支出していたわけで、今回、この指定袋収入を当てたことにより、他に使われたということです。約束違反ではないでしょうか。
リサイクル貧乏という言葉もあるように、元からごみになるものを出さない、と言う発生抑制を実施しなければ、ごみ総量はなかなか減っていきません。そこで長期展望に立った、ごみ減量計画が必要なのですが、廃棄物処理の長期計画の策定が進んでいません。
こういった発生抑制の仕組みつくりができていないことから、ごみ減量のインセンティブは下がってきています。生ごみの堆肥化、学校給食の生ごみの有効活用も具体化していません。有料化の導入が早すぎたといえます。
発生抑制には、容器包装リサイクル法の見直しで、拡大生産者責任を明確にすべきです。市民とともに、国に働きかけていくことを提案してきましたが、具体化されませんでした。
ごみの指定袋収入からのみどり基金への積み立ては、市民の関心も高いみどりの保全、とくに市街地のみどりの保全は、良好な都市生活を維持していくのに必要なことではありますが、あまりにも唐突な政策で、指定袋の収入の使い道として、急遽浮上した感があります。
また、指定袋製造に関しても、8回にも及ぶ契約が、費用の圧縮、事務の効率化に結果として結びついていないといえます。
教育についてです。学校の耐震事業が前倒しで実施され、終了予定期間の短縮が図られました。また、トイレの改善も図られたことは評価いたしますが、改善数が需要に追いつかないのが残念です。 一方、、ハード面にくらべて、ソフト部分、つまり人材の配置と言うことに関しては、不十分であったといえます。
教育現場に人の配置がいかに必要かということは、教育長自身も認識されていることですが、一番、費用がかかることでもあります。しかし、誰もが望む場所で教育を受ける権利があることは当然のことであり、学力の向上のみが教育目標ではありません。市独自の教員確保、専任の学校図書館司書、介助人など、人材の配置にもっと予算を増額することを要望します。
教育だけではありません。人材がもとめられているのは、障害者のケアプラン作成、生活保護のケースワーカー、などにおいても、そうです。必要なところに行政サービスが行き届いていません。 子育てについてです。家庭子ども支援センターが設置され、18歳以下の子どもをその対象とすること、また、子ども育成計画が市民委員も入れ、策定されたことで、子育てナンバーワンのまち、八王子、に向けての土台がつくられました。評価いたします。しかし保育園の待機児解消は、努力されているのはわかるのですが、遅々としてすすみません。
より積極的な施策展開を求めます。
事業の透明性、ならびに説明責任についてです。
中央道インター北地区基盤整備促進事業については、事業の計画性に問題があり、予算が執行できませんでした。事業の厳選と言いつつも、まさに実効性のない希望的観測であったことが、この未執行と言う事態から明らかになりました。八王子駅南口再開発事業についてもそうです。具体的な事業計画、資金計画が示されないまま、少しずつその内容を変えてきています。ぺデストりアンデッキの設計費が、繰越明許費となったことは、この計画が他人任せであることをしめしています。そして、いつの間にか、ミニ市役所を再開発ビルのなかにオープンさせるという話になっています。賑わいの創出、市民の利便性、と言うことで説明されていますが、具体的な根拠がしめされていません。全体計画が見えないと同時に、市民不在のまちづくりであり、到底認められません。 市民との協働は、これからの行政運営に欠かせない大きな柱ですが、そのためにも説明責任や事業の透明性がたんぽされていなければなりません。
財政運営についてです。
厳しい財政運営が強いられているなか、減税補てん債の一括償還に踏み切り、返す以上に借りないと言うルールの元、市債残高を2808億円まで縮減してきたことは高く評価します。数字的には公債費比率は20,8%ですが、実質中身においては、前年よりマイナスになっているのです。しかし、それでもなお、2800億円あまりの市債がおもく、のしかかっていることを考えるなら、返す以上に借りないと言うルール以上に、より一層の引き締めを行っていただきたい。また、職員退職手当基金積立金を6億円、創出できたことは、これから向かえる、大量退職時代への準備として評価いたします。
また、全庁をあげての税の徴収努力についても、多摩26市の平均になったということで、評価いたします。5万円以下の滞納者が圧倒的に多く、うっかり忘れということが多いとのことで、きめこまかな対応を心がけていただきたい。
介護保険特別会計についてです。普通徴収の第2段階、第3段階の収入率が90%を割っています。これは低所得者で納付困難者の増加と分析できるのですが、対応はなんら行われていません。実情にあったきめ細やかな細分化された徴収区分なり、低所得者に負担が重い、介護保険料の見直しが必要です。
本決算は、厳しい財政状況の中で、市民との協働、福祉、教育、医療、都市基盤整備、産業振興、環境などの主要課題に取り組み、元気なまち、八王子を目指して、効果的に財源を配分し、事業を実施した結果と言うことですが、先ほども述べたような、所得格差の広がりにどう対応し、地域再生のプログラムを提示するかといった、現状認識に基づく具体的戦略に欠けたものとなっています。福祉の増進へのシフトではなく、国の施策に同調し、稼ぐこと、切り詰めることにシフトして言っていることに反対です。税制改悪による増税が次々と市民生活に追い討ちをかける今、行政としてやるべきことは、セフティネットの張りなおしによる市民生活の安定であり、人材の育成であって、民間委託により、経費削減をしても、このことは全体として非正規の労働者を増やすこととなり、結果として更なる行政課題が生じてくることを考えれば、安易に進めるべきことではありません。八王子市民の現状に対して、本決算で足りなかったことは何か、その認識をもって次年度の予算立てをしていただきたいと要望して、反対討論を終わります。

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