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2006年第1回定例議会  本会議&  2006年度予算反対討論
無所属の陣内やすこです。
それでは2006年度八王子市一般会計および特別会計予算、ならびに関連する諸議案について、反対の立場から討論を行います。
2006年度予算は、一般会計1596億、特別会計1649億、あわせて3245億円であり、前年度に比べて、2,7%増となっています。予算編成に当たっては、財政再建を図りつつ、「都市の再生」「安心・安全な暮らしの確保」「教育環境の充実」「子育て子育ちの支援」を重点項目にあげ、市長は「最小の予算で最大の効果を挙げる」という原点に立ち返り、ゆめおりプランを着実に推進し、市民の期待にこたえるための予算編成を行うことを基本方針と定めた、と提案説明で述べています。
しかし、昨年9月に実施された市民世論調査報告で、特に力を入れてほしい施策の2番目に高齢者福祉があげられています。しかも、この4月からは、介護保険の改正があり、介護予防を大きな柱とした高齢者福祉をどう展開するのか、注目されていたところでもありますが、重点項目として取り上げられることなく、その意味で、市の基本方針に対し失望いたしました。
いくつかの個別課題についての指摘です。
まず、市債残高についてです。市長就任時においては、3200億に迫ろうとしていた市債残高が、2006年度末には、2692億円程度まで縮減できる見通しということで、大きく縮減されてきたことを高く評価いたします。市債依存率について6%をこえない、また、返す以上に借りないというルールを堅持してきたことで、成し遂げられたものですが、それでもまだ、多大な負債があるということで、今後も厳しい財政運営が求められます。行財政改革プラン追補版に記載されている、行財政改革推進審議会からの意見でも、「ここ数年の多大な返済実績を残したにせよ、いまだ2800億円に及ぶ市債が残り、その額は、2005年度の一般会計当初予算の1,8倍を超えるものである」との指摘があります。引き続き厳しい抑制ペースで臨むことが求められるとして、具体的に建設債について、適債事業であるからといって安易に発行することなく、事業の厳選「選択と集中」に努められたいとしています。
一方、市民生活に目を転ずれば、格差社会の進行が叫ばれ、市長も構造改革、規制緩和が原因という認識を持ち、社会構造が複雑・不安定になるところで、犯罪や自殺などが増えていると答弁しています。また、税制改革に関しても、市民生活への影響を認識しているところから、市民サービスの充実を図るとしています。つまり、市民生活においては、経済的不安をはじめとして、先が見えない不安が増大してきているのです
そのような中、今年度は「都市の再生」事業として、八王子駅南口の再開発事業が本格化しようとしています。再開発準備組合から示された市の負担額の概算は112億円です。市民生活に影響はあるとしながらも、具体的な財政計画は明らかになっていません。また、この再開発ビルの5階部分に設置するとされている中央地区地域事務所に関しても、その必要面積をはじめとして、設置理由など、不透明な部分が多すぎますし、年1,2回しかいかない事務所の設置が市民の望む市民サービスの充実であるとはとても思えません。市民参加のルールつくり、まちづくり条例作成が進行していることから、南口のまちづくりをどう考えるのか、市民参加による、再検討が必要です。再開発ビル建設を目的とした市民会館建設、新事務所設置に反対です。
2005年3月に総務省から示された、地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針にもあるように、公共事業においては積極的にコスト構造の改革に取り組むこと、そして、公的施設に関しては、国および特殊法人が設置主体となる公的施設に関しては厳しく新設ならびに増築を禁止することとされ、地方公共団体に対しても、この措置に準じるようにとの要請が出されていることからみても、厳しい精査が求められるところです。
次に「教育環境の充実」です。学校の耐震工事が前倒しで実施され、小学校においては、2006年度中、そして中学校においても2008年までには終了するとの見通しで、子どもたちの安全対策として、そして地域の防災拠点としての整備としての位置づけを評価いたします。学校トイレの改善にも積極的に取り組んでいただいているところですが、学校数も多いところから、年間整備校をもう少し増やしていただきたいと思います。改築された第7小学校へ伺った折、お聞きした話ですが、子どもたちの新校舎への反応は「トイレがきれいでうれしい」というものとのことでした。このように、教育環境のハード面は計画に基づき、着々と勧められているのですが、マンパワーの充実に大きな進展が見られないことを指摘せざるを得ません。教育支援人材バンクの新設は地域にその人材を求めるものですが、ボランティアです。特別支援教育についても、全校に配備されたというコーディネーターも新たな人材の投入ではなく、学級担任が兼務となっているところが多くを占めています。学校図書館運営もボランティア頼みです。ボランティアの力は大いに期待されるところですが、必要なのは、きちんとした専門家による核作りであり、ボランティアができることと、してはいけないことの区分けをきちんとしなければなりません。このことは、長年の課題であった北野地区図書室が中央図書館の分室と位置付けられたことは評価しつつも、その運営が、地域の住民協議会に任されるということにも現れています。図書館としての専門性を担保するような人材投入、組織つくりが必要です。
30人学級への実現要求の高い中、マンパワーの充実の見通しが見えません。中学校給食については、食育の実施とともに速やかな対応を求めます。
そして日の丸・君が代についてです。昨年「歌わせたい男たち」という演劇が上演され、高く評価されました。卒業式における君が代斉唱をめぐっての校長や教師、ピアノ教師などのやり取りをテーマにしているのですが、当初、イギリスでの上演を予定していたところ、職務命令で起立して、君が代を歌わなければならないという設定が非現実的で、どこの国の話し、と、取り合ってもらえなかったそうです。これが世界のスタンダードで、一人一人多様な意見があり、それぞれが尊重されなければならないとしています。しかし、今また、都の教育委員会は都立高校の生徒への強制を強めています。憲法に保障された内心の自由を侵すものであることから、通達、職務命令による日の丸掲揚・君が代斉唱の強制を撤回すべきです。
次に「子育て子育ち支援」についてです。保育園・学童保育所の待機児童の解消については、多くの努力がありながらも、なかなか改善されないという課題はありつつも、地域子ども家庭支援センターが残り全地域に設置される見通しであり、さらにそこを中心に、子育て応援団が組織されるという取り組みは評価いたします。子ども育成計画に基づき、プランードーシーといったサイクルで、施策が展開されつつあることが見えてきています。しかしながら、子育て支援とは、男女がともに育児にかかわることを保障することを意味するものであり、男性の働き方を変えるという方向性を持つものであることはいうまでもありません。この点に関して、男女共同参画センターとの更なる連携を期待します。
また、家庭のいかんにかかわらず、子どもの子どもとしての育ちを保障する場として、児童館が直営となり、充実し、18歳の児童まで、対象を拡大したことは今日的課題に対応できる体制といえます。今後の展開を期待するところです。こういった施策を実施するうえで、公立保育園、学童保育所への指定管理者制度の導入が進んでいますが、慎重な対応を求めます。企業の参入もあり、また選択の余地が極めて小さいことを考えるならば、子どもが安心して保育サービスを受ける場であるという視点の徹底が必要です。 「高齢者福祉」に関しては、その多くが介護保険の枠組みの中に入ったわけですが、介護保険制度そのものが、今までの契約といった考えを維持しながらも、措置的色合いを濃くしてきています。そのようななかで、八王子の高齢者に対して、まず、どういう状況であるのか、そしてニーズは何か、それらに対して、市の積極性をどううちだしていくのか、そういった施策展開が図られていないといえます。介護保険制度の制約がある、事業者がやってくれるかどうか、といったことがネックとしてあることは十分承知していることですが、それでも、多様化する高齢者の暮らしをどう把握し、そのための支援をどうするのか、といった全体像を示すべきです。介護保険制度の改正に向けて、職員の方々の努力は大変なものがあったと想像できますが、制度をどう八王子の実情に当てはめるかということに終始した感があり、残念です。その原因のひとつとして、市が直接携わる介護の現場を持たないということがあるのではないでしょうか。在宅支援センターをはじめとして、委託事業所が運営しています。4月からの包括支援センターも同様です。今後の高齢者介護の施策展開に当たり、組織的に今の3課でいいのかどうかということも含めて、組織体制の検討を要望いたします。
農業振興に関しては、道の駅の整備の中で実施されるとのことで評価いたします。しかし、広い地域に農地が分布する八王子という特性を考えるなら、生活の中に農業が見える仕組みを積極的に構築していただきたいと要望します。学校給食の地場野菜供給もそのひとつですし、生ごみの堆肥化の実施もそうです。農業によるまちおこしを期待します。合わせて、女性農業者の支援も積極的に取り組んでいただきたいとおもいます。
ごみの減量に関しては、プラスティックの処理が課題となっています。発生抑制の取り組みが始まることは歓迎いたしますが、プラスティックを燃やすことではなく、出さない仕組みをどう作り出していくのか、市民的議論が求められています。
介護保険特別会計について一言。保険料アップにより、歳入のバランスが変わりました。歳入総額238億円で、前年比で14億円あまり増えているのですが、多くは保険料が増えたことによるものであり、市の繰入金は2億7000万円あまり少なくなっています。さらに、一般会計で行っていた老人保険事業費が8000万円減、そして一般会計事業の在宅生活支援サービス事業等が6000万円あまりの減となっています。このようにいままで、一般会計からの事業とされていたものが、介護保険の中に組み入れられることによって、高齢者本人の立場からみると、保険料のアップ、非課税措置の廃止で所得階層の変化、利用料1割負担、さらに、特定高齢者とならない場合には、制度の利用もできない、要支援の場合にはサービスが制約される、といった事態になるわけです。これで、安心して高齢者が暮らしていけるといえるのでしょうか。
最後に八王子国民保護協議会条例についてです。市町村の国民保護計画を作るために、協議会の設置が必須なのですが、質疑の中で、なぜ、国民保護計画を立てるのか、有事法制の一環として、戦争へ国民を駆り立てるためのものであり、国民を守るためのものではないということが、明らかになってきました。戦争をしないこと、仕掛けないこと、これが住民を戦争から守る唯一の方法です。市長自身、市民外交を実施していくが大事といいつつも、協議会には、自衛隊に参加してもらいたいと、なんら審議がされていないうちから明言されています。万が一、有事になれば、自衛隊は侵害排除のために戦闘部隊としての機能を持つわけで、国民の保護と矛盾します。
国民保護法が持つ意味、そして国民保護計画の具体性と実効性、こういったことを市民とともに十分議論していかなければならないにもかかわらず、なんら市民に対する周知がない中で、計画を進めようとしていることに大きな危機感を感じます。
国は小さな政府をめざし、重たくなった来た福祉予算の削減、負担の自治体への転化、自己責任論による政府の責任放棄等を推し進めつつあります。そしてそのような今だからこそ、福祉の向上を目的とする地方自治の原点に立ち返り、何をやらなければならないか、が問われているのです。以上を持って、本予算に対して反対の討論とします。

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