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2006年  定例議会最終日  討論 (10月13日)
要旨
2005年度決算認定の反対
◎【9番陣内泰子議員】 無所属の陣内泰子です。
 2005年度八王子市一般会計並びに各特別会計決算認定に対して反対の立場から討論を行います。
 2005 年度の決算は、職員の方々の多大な努力によって、指標的に見ると、結果としてバランスのとれた決算となっていると言えます。財政再建、行政改革も着実に進み、経常収支比率が88.0%と、80%台になったことを初めとし、地方債現在高も全会計で2,732億円まで縮減できたことは大きな成果です。退職手当基金や公共施設整備基金など積極的な基金の積み立ても行われました。
 では、一方で、市民の生活はどうなっているのでしょうか。市税収入が収入率の改善もあって31億円余りの増となっていますが、そのうち約11億円が配偶者控除に上乗せされる配偶者特別控除の廃止などの税制改正によるものです。
 また、国民健康保険税収入においても税率等の見直し、収納率の改善で10億円余りの増ですが、給与所得の上昇を上回る税制改正による負担、税率見直しの影響に多くの市民がさらされ、厳しい現状に置かれています。この点は市長みずから提案説明の中で民間企業の業績の好調さが給与所得への著しい波及になっていないと言及もしている次第です。
 さらにつけ加えて言うならば、八王子においても生活保護世帯がふえ、就学援助認定者も増加しております。また、税制改正の影響で課税標準額のランクが押し上げられているにもかかわらず、課税対象額200万円以下の人が昨年よりも増加し、しかも、その総所得金額は低くなっているということが決算資料から明らかになりました。
 このことはとりもなおさず八王子においても格差社会が確実に広がってきていることを示すものであり、こういった現実に対してどういう手を打ってこれたのか、それが決算認定の判断基準とも言えます。
 まず予算の重点項目、そして、ゆめおりプランに示された6つの都市像に沿って2005年度を振り返ってみると、第1の都市像、創意にみちた協働のまちの推進においては、新たな取り組みであった住民参加型ミニ市民公募債、八王子みどり市民債の発行が大きな反響を呼びました。初めての試みということで、担当の方々はいろいろな御心配をされたわけですが、結果として8倍以上の応募があり、新たな可能性が開かれたと言えます。しかし、決算の意見のところでも触れさせていただきましたが、市民との協働といった意味合いが明確化されてきていないことから、一過性の施策にとどまるのではないかとも危惧しております。協働のまちづくりを資金調達においても実践する、こういった可能性をより確実なものとするためにも、利率や事業選択、そして、市民への説明などのあり方の検討を今後も前向きに行っていただきたいと思います。政府資金から借り受けてもその返済は市民の税金で行うのですから、直接的な市民からの資金調達は透明性を高めることにつながり、全市民に関係するような公共事業においては、こういった市民公募債の導入を組み込むということも御検討いただきたいと思います。  第2の都市像、ひとりひとりが大切にされるふれあいのまちづくりにおいては、こども育成計画が市民参加のもと、着実に進行していることは評価いたします。子ども家庭支援センター5館構想の完成見込み、1小学校区1学童保育所の設置の進展は、地域で子どもを安心して育てる基盤ができつつあるわけで、その早い取り組みには敬意を表します。しかし、努力されていることは十分わかるのですが、一向に解消されない保育園並びに学童保育所への待機児童対策として抜本的な改革が求められていることも事実です。少子化とはいえ、働きながら子どもを育てていくことが当たり前の社会となるよう、保育園の新設を含めての対応を求めます。まだこのあたりの認識が全庁的に共有されていない気がいたします。
 高齢者福祉についてですが、大きな問題は介護保険制度です。ことしからその枠組みが大きく変わってきました。そして、その前兆は2005年10月からの介護保険改正の前倒し、そして、介護保険計画策定の中で始まっていました。それに当たり、八王子のニーズと資源を洗い出し、それを国の制度に当てはめ、何が足りているのか、何が不足しているのか、こういった検証、検討が現場の実態に即して行われていないと感じられます。端的な例が10月の施設利用者等へのホテルコスト、食事代の自己負担という介護保険改正の前倒し実施への対応が7,000万円の減額補正という無策であり、介護予防に軸足を移すことによって配食サービスなどにサービスの低下が見られてきていることです。高齢者の生活の維持のための施策展開がとりもなおさず介護予防になるという認識の徹底が必要です。筋肉トレーニングが効果を上げたとの報告もありましたが、生活の維持、質の改善に介護保険の実施責任者としてもっと光を当てていただきたいと要望いたします。
 第3に、学校教育への取り組みです。2005年度から始まった学校トイレの改修は高く評価いたします。改築された第七小学校へ伺ったとき、子どもたちが一番喜んでいるのはトイレがきれいになったことですと校長先生からお話を伺いました。学校トイレの設計を多数手がけている○○○○さんは、トイレがきれいということは、子どもたちが自分たちが大切にされているというふうに感情を持つことができると話しておられました。年間5校と言わずに積極的な整備実施をお願いいたします。議会からの要望も高いものとなっています。
 ひとりひとりが大切にされる教育環境整備で言えば、特別支援教育の推進も2年目です。取り組みが進んでいるとの評価、分析をされているようですが、まだまだ予算が少なく、現場との認識ギャップが大きく、保護者との連携を密にする中で、個別的な対応をきめ細かく実施していただきたい。それには何と言っても人材の確保であり、人材の専門的育成が求められています。ボランティアの導入も図られているところですが、ボランティアのすること、市が責任を持ってしなければならないこと、それの明確化が急がれています。
 読書ボランティアなどもそうですが、学校図書館の利用ではなく、活用をどう教育の中に位置づけていくのか、その1つのあり方としての読書ボランティアであると考えますが、このあたりの整理ができていないまま事業が進むことを懸念いたします。
 最後に、水とみどりを慈しむ地球環境にやさしいまちとの都市像から検証した2005年度の事業評価についてです。意見でも述べましたが、斜面緑地保全の条例を評価し、そして、緑地の公有化によって市街地の緑が保全されたことは歓迎するものですが、公有化が一過性のものとして終わらせないためにも、今回の取得経過の検証と説明責任をきちんと果たせるような仕組みが必要です。中野山王二丁目緑地ほか3緑地の買い取りが、開発の危機のもと、ルールのないところで行われたことの評価は、今後の緑保全のあり方に依存します。貴重な緑が開発業者の手に渡らないようにどう早目早目に手を打つのか、教訓としていただきたいと思います。そして、当然、墓地の開発規制の強化をも施策として検討しなければならないことは言うまでもありません。
 そして、ごみの指定袋収入によるみどりの保全基金の積み立ては、地球環境にやさしいという最終目的は同じであっても、余りにも飛躍し過ぎています。しかも、有料化導入に当たっての市民への説明会においては、こういったみどりの保全基金への積み立てについては、何ら言及されていませんでした。特に発生抑制の取り組みが十分でない中、かえって市民の減量意識を鈍らせることにもつながります。しかも、中野山王緑地などの買い取りの政策決定をしたのが2004年9月24日であることを考えると、買い取り資金の一部として当初から予定されていたのではないかとの憶測も出てきてしまいます。ごみの減量と緑の保全は違う政策なのですから、資金の流れも明確に分けるべきです。
 以上、ゆめおりプランの都市像に沿って事業の評価、そして、問題点の指摘、要望等をさせていただきました。何をやっても反対なのではありません。しかしながら、さきにも述べたように、市民生活における格差進行、そして、市民生活の厳しさを少しでもやわらげるような施策の展開、事業展開が見られない、その点をもって今回の決算認定に関しては反対の理由とします。
 田中副市長は、職員のソフト面での対応で市民の増税感をやわらげると述べておられますが、増税感といったとらえどころのないものではなく、現実に進行しているのは、増税などによる負担増による暮らしにくさであることがあるわけで、ケースワーカーのさらなる増員や、より積極的な就労支援の取り組み、ひとり親家庭へのキャリアアップサポートであったり、生活できる賃金が取得できるような仕組みづくりの強化などなど、やらなければならないことは放置されたままです。  また、根拠のはっきりしない市民ニーズに基づいて予算化されたJR八王子駅南口再開発事業においても結果として約1億円の減額補正であったことを考えると、必要なところに必要な予算が使われなかったと言わざるを得ません。
 そして、緑の保全は2005年度において重要施策の柱でもあり、さまざま語られてきている一方、森を切り開いて物流センターにする構想も同時進行するというこの矛盾は許容することができません。
 最後に、日の丸・君が代についてです。総括質疑や意見の中においても触れられていることであるので、一言だけ申し述べたいと思います。
 入学式、卒業式の処分者がゼロになったということは、力ずくで1つの方向、日の丸に対して起立して敬い、君が代をピアノ伴奏で歌うという選択の余地のない状況を学校につくり出しているからです。それだけ内心の自由が奪われてきているということです。職務命令を出し、日の丸・君が代を強制しても、内心の自由を侵すことにならないとの教育委員会の抗弁そのものの根拠が、ことしの9月21日、東京地裁判決で覆されたわけですので、この結果を真摯に受けとめ、 2004年9月に出された入学式、卒業式について事細かに指示した八王子市が各学校長あてに出した実施指針、通達の撤回を要望いたします。子どもの成長を祝う新たなスタートを祝福する学校の入学式や卒業式の主役は子どもであって、国ではないのです。
 以上をもって決算認定の反対討論といたします。

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