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2006年  第4回定例議会-  一般質問(12月5日)
要旨
1.学校で子どもたちはいま
  (1)子どもたちへの安全対策
  (2)学級数、学級人数格差について
  (3)人権教育の実施
2.特別支援教育の本格実施を前に
  (1)学校、保護者、地域の理解はどれだけ広がったか
  (2)適正就学という考え方
  (3)個別指導計画について
  (4)学校図書館の活用
3.介護保険改正その後―第2弾―
  (1) 施設をでなければならない
  (2) 地域で暮らし続けるために必要なこと―食べること、住まうこと―
4.八王子城跡御主殿の滝涸れへの対応
  (1)市として早急にやらなければならないこと
◎【9番陣内泰子議員】  本議会の最後の、そしてまた、ことし最後の一般質問となりました。お疲れとは存じますが、よろしくお願いいたします。無所属の陣内泰子です。
  今回は教育、子どもの問題が多く取り上げられてきました。それはいじめ自殺など痛ましい事件が相次ぎ、教育に大きな関心が寄せられていることを反映してのことと言えます。いじめ自殺に関しては鹿川君の自殺から20年、何が解決されてきたのだろうかと暗たんたる思いであるとともに、子ども社会の問題というよりは、大人社会から多くのストレスを抱え込まされている子どもの現状をも、しっかりと見ていかなければならないと思います。
  その一方で、教育の大きな流れの変化も見られます。国連に提案されてから5年、障害者権利条約が本年8月、委員会で採択され、この6月の国会においても、小坂文部科学大臣が流れはインクルーシブな教育であると答弁し、条約の成立、そして批准はこれからとはいえ、この条約に賛意を示した日本政府にとって、分離教育から統合教育へと転換していくことが確認されたと言えます。こういった教育をめぐる現状を踏まえて、八王子の子どもたちの実態を検証しながら、何をしなければならないかを問題にしていきたいと思います。

  まず、ハード面において、子どもたちの安心がどのように確保されているのかについてお伺いいたします。
  学校の登下校の安全、学校内への不審者の侵入対策として、地域の学校安全ボランティアの活動や、シルバー人材センターの協力による子ども見守り隊など、速やかな対応が進んでいるところです。小学校の校門オートロック化は、私自身、人の目でと訴えてきたところではありますが、約5,000万円の予算が投入されて、今年度にはほぼ全小学校で完了するとのことです。その他にも地域安全マップの作成など、児童の登下校の安全対策としてさまざまな取り組みが行われてきていますが、そこでお伺いいたします。これらの取り組みの評価、そして今後の問題点について、どう認識されているのでしょうか。そして、学校通学路での不安箇所についてどのように把握し、市としてやらなければならないことは何とお考えなのでしょうか。
  次に、学級数や学級人数についてのアンバランスについてです。
  児童数の大きな偏りから、学校によって満杯状態といったところも見受けられます。昨日、他の議員からの報告もあったように、全校生徒約800人、24学級の由木中央小学校では、休み時間に先生が廊下や階段の隅々に立って、児童が衝突しないよう目を光らせているといったお話や、学校での子どものけがが多いといったことも伺いました。子どもの数が多過ぎるといったことによって生じるトラブルや、子どもへのストレスは極力避けなければならないことと考えます。
  八王子では2000年に市立学校適正配置等審議会からの答申で、12学級から18学級が適正学級規模とされているのですが、12学級以下の小規模は16 校、また18学級以上の大規模校は10校と報告されました。これは答申に基づき、教委の適正化方針で3地区での統廃合が行われた結果です。そして現在、適正学級の新たな見直しの検討を行うとして、検討会の立ち上げが準備されているのですが、その目的と、また検討会の結果をどのように生かしていこうとお考えなのかお伺いいたします。
  先日、由木中央小学校の、由木の教育環境を考える会から資料をいただきました。ニュータウンの住宅建設などから年々児童数がふえており、市内一の大規模校であるにもかかわらず、今年度からの増築計画が具体的となってきたところ、保護者の方々から、由木中央小はこのままではパンクするとの危機感から会がつくられ、学校保護者、地域の方々から増築によって児童数がこれ以上ふえることに反対の声が上がり、市との説明会が開かれたところです。来年度の入学予定者を見ると、40名が選択転出、そして129名の入学予定者となっています。選択除外校なので、通学区域から見た潜在的な児童数はさらに多いことがわかります。
  私も実際に学校に伺って案内していただきました。既に増築は一度行われており、継ぎ足し校舎になっています。迷路のようなところもあります。校庭もさほど広くなく、運動会のときなどは保護者はほとんど立ち見状態ということです。24学級ということ自体、既に適正学級数をオーバーしているにもかかわらず、通学区域の見直しや近隣の小規模校へのアクセスの検討などといったことではなく、増築という方針が出されたわけですが、これでは何のための適正規模の答申なのかと疑問に思っています。新設学校をつくるのは費用もかかり、大変なことであるのは十分わかっているのですが、子どもの教育環境を第一に考えていただきたいと思います。
  そこでお伺いいたします。現時点での学校、保護者等の話し合いの到達点はどのようになっているのでしょうか。昨日の答弁を確認すると、増築はペンディング、保護者や地域の方と通学区域などをも見直しながら検討するという理解でよろしいでしょうか。
  次に、選択制についてです。
  今議会における議論の中で一定程度の評価を得ているということで、今後も続けていくお考えであること。また、影響として、小規模校がより小規模になることについては、教育長から廃止を見据えて、選択制に変わる支援をしていくとのお考えが示されました。つまり選択制をてこに、自然淘汰による学校の統廃合を考えておられると受けとめたのですが、これで果たしていいのでしょうか。少人数、だから統廃合ではちょっと安直ではないでしょうか。
  今、学校は、地域の拠点として大きな期待が寄せられているところです。ところが、ニュータウン地区には、500世帯近くあるマンションの子どもたちが、おおむね2つの学校にほぼ半分ずつ分かれて通うという例もあります。こういったことは地域の行政力にマイナスになるのではないかと思われます。また、小規模校においても、入学する子どもの数と同人数程度の子どもが、選択によって他の学校へ行くというケースも幾つか見られ、この場合は子どもがいないことによる小規模化ではないのですから、選択制が地域力を弱めてしまう結果にもなるのではないかと案じられます。こういった選択制の問題をどうお考えなのかお聞かせください。
  次に、学級の人数についてですが、来年度の入学児童を学校別に見ると、全体総数で1学校当たり7人から158人というふうになっています。1クラス当たりの子どもの人数に大きな開きがあります。30人学級の要望が高い中、子どもたちの教育環境に大きな不公平が生じています。
  そこでお伺いいたします。来年度4月において30人以上の学級数がどれぐらいになるのか。そして、特に1、2年生の低学年においてはどうなっているのかお示しください。
  昨年10月に出された答申に向けての教育中央審議会の議論の中でも、少人数学級の効果については十分議論されているところで、財政上の問題もあるが、政策的な問題だと言われています。八王子においても同様の指摘ができます。中教審答申では、少人数学級を視野に入れた教員配置の弾力化について言及されており、文部科学省での検討課題となっているところです。市としてもこの少人数学級の有効性については十分認識しているところであると思いますし、いじめや不登校対策としても少人数学級での指導が、大きな効果を上げているとの報告も上がっているところです。
  そこで、特に低学年において小1プロブレムとも言われているように、学校生活になれるという課題もあることから、学級支援という位置づけでの人的支援、特に1、2年生の低学年の支援、あるいは30 人以上の学級に対しての固定的な複数担任を実現していただきたいと思うのですが、どのようにお考えでしょうか。
  次に、特別支援教育についてです。八王子は東京都のモデル事業を3年かけて、段階的に実施してきました。来年度の本格実施を前に、何点かお伺いいたします。
  特別支援教育の理解は、保護者、学校、そしてその地域にどれぐらい広がっているのでしょうか、お答えください。国連の第8回障害者の権利条約特別委員会で採択された障害者権利条約は、教育、雇用などに関する障害者の権利を確保するために、過度な負担を生じない範囲での合理的な配慮を求めるとともに、教育における完全なインクルージョンという目標に即して、効果的な支援措置が提供されることを明言しています。障害があってもなくても、同じ場で教育を受けることができることへの根拠ができたと言えます。それゆえ特別支援教育が障害児探しであってはなりません。
  そこでお伺いいたします。八王子では就学の選択に際し、どこまで保護者、本人の意向が尊重されているのでしょうか。就学相談等を通して養護学校が適切、心障学級への通学が適切と指導された場合でも、保護者、本人が普通学級を望むケースも多くあります。その場合、普通学級に通っても特別なことはできません。それでよければといったような指導が行われているのかと思うのですが、こういった適正就学の指導は非常に保護者、本人にストレスや負担となるもので、普通学級へ通っても学校や教師にとって歓迎されない存在といった印象をぬぐえません。子どもたちの反応はもちろん違っています。
  そこで適正学級という考え方は、このインクルーシブな教育の実践と矛盾するものではないかと思うのですが、これについてのお考えをお聞かせください。
  次に、八王子城跡の滝がれ  題についてです。
  きのうの答弁の中で市長は、観測孔2の水位が戻らないことの解明を、特に学識経験者からなるトンネル検討委員会の見解というものをきちんと求めたい。そして、それを早期に国交省に申し入れるとお答えくださいました。これはトンネル技術検討委員会が開かれず、専  的見解が示されてこなかったことに対しての大きな前進と言えます。そしてまた、答弁の中で覆工工事が進んでいくと、徐々に観測孔の水位が上昇するという検討委員会の報告が当たっていなかったんじゃないのともおっしゃいました。そして、覆工工事が完璧に終われば水位が戻るかもしれない、戻ってほしい。なぜかというと、この道の権威であるトンネル技術検討委員会のメンバーが出している見解を信じる以外ないんじゃないんですかと続けておっしゃいました。
  つまり、覆工工事が進むにつれて水位が徐々に上昇する。そして、覆工が完成すると止水構造となるので、水位は将来的に安定するというのがトンネル技術検討委員会の見解なのですが、この前段の予想は外れてしまっているわけです。しかし、この道の権威が言っていることなのだから、後段の水位は安定するという、これを信じよう。そういうことだと理解します。つまり予想が外れたことの原因、なぜ水位が上昇しないかの見解、この原因究明を求めるという答弁になっているというふうに理解いたしました。
  そして、短くではありますが、お伺いいたします。覆工工事が9割終わっているということです。それでは、一体いつごろ完了するという報告を受けているのですか。時期の目安をお示しください。そして、覆工工事完了後、どれぐらいの間に水環境が戻らなければならないと思っておいででしょうか。この点についてもリミットを定めなければ、次の対策が打てないわけで、おおよその目安をお示しください。
  そして、万が一、そんなことがあってはならないのですが、このリミットが過ぎてもなお水環境が正常に戻らないときは、市としてどのような働きかけを文化庁、都、国交省、関係団体に行っていくとお考えなのでしょうか。さらに、観測孔2の水位が下がったままであるということ、これは御主殿の滝がかれているという現象、これはまさに国史跡の大きな原状変更であることに間違いはありません。そして、国史跡を預かる市として、今回の副申でも水環境が工事前の原状に復することを工事延期の条件としているのですから、きちんと水環境が戻らない限りは、覆工工事が終わっても工事完了ということにはならないはずです。この点についての市教委の認識をお示しください。
  そして、この滝の水環境が原状に復する対策を、教育長は依頼文において要望していらっしゃいます。しかし、一向に施されていない状況が続いているわけで、これに対してもどのように働きかけているのか再度お聞きしたいと思います。
  これで1回目の質問を終わります。

◎【飯沢俊一議長】  学校教育部長。

◎【石垣繁雄学校教育部長】  教育に関する幾つかの御質問をいただきました。
  まず最初に、子どもの安全対策についての評価と課題ということでございますが、初めにこのことに関しましては、地域、PTA、老人会、各団体、企業などのさまざまなボランティア活動につきまして、ここで感謝を申し上げたいなと思っております。
 子どもの安全確保のため、校門へのオートロックシステムの設置による学校施設の整備、通学路周辺の視野を妨げる中低木の剪定などの通学路の整備、そして学校安全ボランティアの見守り隊等による地域ぐるみの安全体制の整備、安全教育の推進等による子どもの危険回避能力の向上等のさまざまな取り組みによって、子どもの安全確保が図られているところでございます。
  特に各地で子どもが被害者となる事件が多発した昨年末以来、通学路のパトロールや登下校を見守る学校安全ボランティア、住宅や店舗を子どもの緊急避難場所とするピーポくんの家、車により子どもを保護するピーポくんの安心パトロールなど、多くの市民の方から御協力をいただいており、こうした地域の力の高まり、これが子どもの安全性の向上につながっていると考えているところでございます。今後、これらの地域の取り組みを日常化、継続化させていくことが、大きな課題だととらえているところでございます。
  次に、学校で対応できない不安箇所の把握や対応は、どのようにしているかということでございますが、通学路の安全確保につきましては、学校におきましてPTA等の御協力もいただきながら定期的な点検等を実施しており、危険箇所等の把握に努めているところでございます。通学路は地域の生活道路でもあることから、町会、自治会、その他地域住民の方から、教育委員会だけでなく、地域防犯として他の関係所管にも情報が寄せられているところでございます。これらの情報をもとに、教育委員会のほか、道路事業部、その他関係機関と調整を行いながら、公園、道路の樹木伐採や街路灯の設置、学校等への情報提供、パトロール車によるパトロール等を実施しているところでございます。
  次に、適正学級の考え方ということでございます。これから適正配置等審議会を開催いたしますが、その目的と方向性という御質問でございました。適正配置につきましては、子どもたちのための好ましい教育環境の確保、これを基本としているところでございますが、審議会では前回の答申から6年が経過いたしまして、その間、学校選択制も実施しております。小規模化、大規模化している学校の現状や通学区域、学校と地域との関係など改めて検討することが必要であると考え、審議会でこれから検討していくということでございます。
  それから、由木地域の学校についての御質問がございました。これにつきましては、由木地域の19住区の開発に伴う児童の増加に関しましては、計画世帯数が減少したことによりまして、新設校を建設した場合、 12学級程度の規模が維持できる期間が非常に短いということで、由木中央小と由木東小の2校で対応していくと判断したところでございます。また、前回の答申の中で、大規模校の解消として新設校を設置したが、数年先には小規模になってしまうということは極力避けるべきだという答申がなされているところでございます。
  なお、学校規模として、31学級以上では過大な規模ということで認識しております。また、一定の期間での30学級程度の規模であれば、教育環境の維持が可能であるとは考えているところでございます。しかしながら、できるだけ好ましい教育環境の確保という考えを引き続き持ちまして、大規模化の抑制として通学区域の弾力化などを視野に入れながら、この問題解決に向かって進んでいきたいと思っているところでございます。
  それから、学校選択制の問題が出まして、その問題点ということでございますが、学校選択制の導入は開かれた学校づくりや教員の意識の向上、学校経営の活性化を図る。これが目的でございまして、状況としてはおおむね目的の方向に進捗していると評価しているところでございます。制度そのもののデメリットはないと考えておりますけれども、一部地理的な要因で小規模化が進行していると、御指摘の現象も見られるということは認識しているところでございまして、これも適正配置等審議会の中での議論を見守りながら対応していきたいと考えているところでございます。

◎【飯沢俊一議長】  教育指導担当参事。

◎【岡本昌己教育指導担当参事】  小1プロブレムについてまずお答えいたします。
  人的支援についてどのように考えているかということでございますけれども、他市におきましては生活指導相談員等を活用しているところもあるというふうに聞いております。本市におきましては、専科の教員、都の嘱託員の複数配置、あるいはメンタルサポーターの複数配置等を活用いたしまして、いわゆる小1プレブレムなどの課題について対応を今後も進めたいと考えております。教育委員会といたしましては手厚い指導体制をできる限り整備しながらも、今後も学校の状況に応じて、それぞれの学校の状況を把握しながら支援をしていきたいというふうに考えております。
  続きまして特別支援教育について、保護者、地域等の理解はどれだけ広がったのかというような御質問をいただきました。学校に対しましては特別支援コーディネーター研修会等、職層に応じた研修会を実施し、特別支援教育の研修を深めてまいりました。保護者や地域に対しましては、市の特別支援教育推進計画のホームページへの公開や、リーフレットの配布などを通しまして、取り組みへの理解は少しずつ進んできているというふうにとらえております。それらを受けまして、今年度は2月に市民を対象にいたしました報告会を実施いたしまして、特別支援教育にかかわる理解、啓発をより一層推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  それに関しまして、いわゆる適正就学についての御質問を2点ほどいただきました。   1点目は、いわゆる障害児探しになっていないかというようなことで、児童、生徒、保護者の意向がどのように尊重されているかという御質問をいただきました。本市で行っております巡回相談は、保護者同意のもとで行われておりまして、適正就学を進める際の就学相談の方も保護者の方からの申し込みをもちまして実施しております。これらの目的は、障害の有無にかかわらず、個に応じた適切な教育方法と教育の場を提供するためというふうに考えております。
  最後に、市として適正就学についての考え方はどうかということでございますけれども、障害の程度に応じた場での支援を行うことは大変重要であるというふうに考えております。それぞれの場におきまして、対象の児童、生徒及び保護者のニーズに即した支援が行えるように保護者等と連携を図り、また安易に別室指導などを行うことなく、メンタルサポーターやボランティアの方の協力を得るなどして、人的なサポート体制を整えてまいりたいというふうに考えております。

◎【飯沢俊一議長】  交通政策室長。

◎【鈴木正之交通政策室長】  私からは、八王子城跡トンネルの2点についてお答えをさせていただきます。
  まず初めに、覆工工事の完成時期ということでございますが、時期については把握はしてございませんが、あきる野インターチェンジから中央道のジャンクションまで来年6月開通ということでございますので、今後の工事などにかかる時間を考えますと、開通数ヵ月前には覆工を完成させなければならないのではないかと市としては考えているところでございます。
  続きまして、水位の関係でございます。観測孔2の水位の回復時期については示されてございません。トンネル検討委員会では、止水構造を早期に完成することで水位は徐々に上昇すると考えるとしていることから、覆工工事が完了すれば徐々に水位は回復してくるものと理解をしているところでございます。

◎【飯沢俊一議長】  生涯学習スポーツ部長。

◎【菊谷文男生涯学習スポーツ部長】  それでは、私の方から、水環境が正常に戻らないときの市の対応ということでございます。
  本市の対応といたしましては、東京都、文化庁とも連携を図りながら、ことしの6月22日付で教育長名で、国指定史跡・八王子城跡における水環境の保全に対する取り組みについての依頼の内容に基づきまして対応してまいります。
  それから、覆工工事が完成しても水が戻らない場合についての市教委の認識ということでございます。これにつきましては、御主殿の滝は八王子城跡を構成する要素として重要という認識に立っております。したがいまして、水環境がもとへ戻ると確信しておりますが、万一こうした状況に戻らない場合につきましては、覆工後でありましても水環境を回復するために必要な対策を講ずるよう要請してまいります。
  最後になりますが、教育長名の依頼文の取り扱いでございます。この依頼文につきましては東京都、文化庁とも協議して、相武国道に提出をしております。水環境をもとに戻すということにつきましては、それぞれ各機関とも共通認識でありますので、この実現に向けて努力してまいります。

◎【飯沢俊一議長】  9番、陣内泰子議員。

                    ◎【9番陣内泰子議員】  種々御答弁をいただきました。
  通学路の安全取り組みに対して、本当に私も、毎日、通学路のところで会う安全ボランティアの方々が雨の日も、そして寒い日も立っておられることに、そしてまた、腕章をつけたたくさんのお母さん方に出会います。本当に感謝しているところです。
  しかし、私は先日、南大沢地区のある1つの通学路を実際に歩いてきました。子どもたちが学校から自分たちの住むマンションにたどり着くまで大体1キロくらいあったかと思うのですが、その間に出会ったのは散歩の方お1人、そしてバイク1台という状況でした。お1人に会ったということで、それはどうだったのかと思うんですけれども、ほとんど人も車も通らない通りなんです。そして、先ほど地域の生活道路という位置づけが割と通学路にはされているという御説明がありましたけれども、特にニュータウン地区にはこのように生活道路ではない、本当にただの通学路のためという道路がまだ幾つもあります。学校では同じ方向に帰る子どもを同じクラスにする、また1人で帰らないようにという指導をするなど、いろいろな取り組みを行っているところです。
  そして、もちろん学校ボランティアも組織されて、いろいろ協力されているところではあるのですが、不審者情報もあって、不安をぬぐい去ることができない状況となっています。クマこそ出ませんが、ニュータウン地区にはこのような箇所があるわけです。地域の協力がこのような地区はなかなか得られにくいといった状況もあったり、また物理的にボランティアによる支援が無理であるようなところ、そういったところの通学路の点検をぜひ行い、また分析をしていただきたい。そして、危険度の指標みたいなものをつくり、客観的に危険度の高さをはかることも可能であるかと思います。もちろんどこも危険であるということは当然であり、また児童の危機回避能力などをつけていくことももちろん必要ですが、こういった客観的な危険の分析を行い、またピンポイント的に人的配置、そこに対する見回りとか、そのようなことをまた行うということも必要だと思います。シルバー人材センターなどに事業依頼をし、見回りをしてもらうことなども1つの方法です。子どもたちへの性犯罪が起こるのは多くは3時以降、下校時に集中しているという新聞報道もあります。3時から5時ぐらいの短時間でいいのですから、通学路に顔見知りのだれかがいるということは、どんなにか子どもにとっての安心になるかと思います。
  そこで人の目による見回り、これを地域だけに任せるのではなく、ぜひ行政としても取り組むことが必要かと思いますが、いかがお考えでしょうか。この場合にはどの通学路も必要というわけではなく、今説明したような危険度をはかることによって、ある程度の優先順位をつけながら対応していくということも必要ではないかと思っております。
  適正学級のことについての御答弁もいただきました。この由木地区については通学区域を2校で対応ということで、通学区域を含めて検討していくというような御説明ではありました。しかしながら、昨日の他の議員からの報告、そしてまた私自身、由木中央小学校等に行ってそこでの状況、また地域の方々から出ているさまざまな要望や御意見、それも十分市教委としても受けとめていらっしゃると思います。そのようなことをぜひ地域の方々、また保護者の方々と十分に話し合っていただきたい。その場合にはこの2校の対応ということだけではなく、もう少し広く通学区域の見直し、広くとらえて検討するということも考えられるのではないかと思いますし、また今、新設校を建てるならばすぐに小規模化するという御説明もあったわけですが、学校建設に関しては。分校建設などというオプションもあるのではないかと思いますので、ぜひ御検討願いたいと思います。
  今度は選択制についてです。選択制の評価についてメリット、デメリットは特にない、幾つか多少の問題は認識しているということではありますが、私はこれに関しては、選択制についての問題把握が十分とは言えないと思います。他の議員からも意見が出されていたように、選択制以前には通学区域の弾力化運用もされていたわけですから、特に小学校の場合、選択理由の1番は通学距離の問題です。それに関する課題というのは、弾力的運用である程度クリアできているのではないかと思います。その一方で、小規模化をより一層小規模にさせる、また先ほどの地域の力を弱めていくというようなデメリットも、この間出てきているのではないかと指摘させていただきます。そしてまた、来年度の新入生の動向を見ると、選択制の除外対象校が6校、締め切ってからの選択除外が8校と全部で14校、2割近くになっています。このような中で、つまり選択の幅そのものも狭まってきているということをぜひ御認識いただきたいと思います。
  次に、特別支援教育についてです。特別支援教育、教員、そしてまた地域、保護者に対しての研修等が行われているということです。しかし、この特別支援教育を実践していくに当たって何といっても必要なのは、教師の理解が一番求められるところです。特別支援教育とは、特別なニーズのある子の選別ではなくて、どうやってともに育ち合うことができるのか、保護者はどのような支援を必要としているのか、まずこのことが大事です。
  国や都が教師の気になる子どもたちを把握する実態調査に使ったチェックリストが、ひとり歩きする危険性もあります。このチェックリストについては、2006年3月、第二弁護士会から人権侵害に当たると勧告も出されているところです。また、教師に障害のある子との接点が今までなかったような場合など、どうしてもマニュアルに頼りがちです。しかし、必要なのは、ともに学ぶことがすべての子どもにとっての豊かさにつながるという理解です。より一層の実効性ある研修の強化を要望いたします。
  保護者側の理解に関しても、よくわからないといった声が聞こえてきます。なぜインクルーシブな教育が必要なのかといった基本的な理解を促すような機会を多くつくっていただきたい。また、保護者は学校での教師の対応で学んでいくことも多いので、授業参観などの機会を積極的に活用していただきたいと思います。さらに、学校での巡回相談などに当たり、十分保護者に説明されているのかという疑問もあります。これは先ほどもありましたが、他の地区の報告ですが、保護者への説明なしに子どもの巡回相談を学校サイドで行ったり、また広島市では特別な教室に行くことによって学級仲間からいじめられ、不登校になったというケースもあると聞いています。このようなことは学校、教師などの認識不足と言わざるを得ませんが、こういったことに対しての配慮をどのようにされているのか、この点を再度お伺いしたいと思います。
  そして、適正就学についてのお考えも示されました。そして、この適正就学についてですが、その前にちょっと御紹介したいことがあります。
  先週、八王子でピアノコンサートを開いた梯剛之さんは八王子の保育園、そして普通小学校を卒業し、目が見えないというハンディを持ちつつ、世界で活躍する若き青年ピアニストです。最近、NHKの番組で取り上げられ、ごらんになった方もいらっしゃるかと思いますが、彼は御自身の著書の中で小学校時代のことを書いています。小学校入学に当たっての大変な困難、それを乗り越えました。最初は歓迎されなかったこと、またかかわった先生のこと、そしていろいろ苦労はあったけれども、同じ保育園からの友達と同じ学校へ行きたいという強い思い、それを持ち続けられた。それを支えてくれる友達がいたということ。また、仲間がいることで学校へ通い続け、だんだんとクラスの中の一員として存在感を持つようになったことなどが書かれています。
  20年前ですが、この入学に当たっての教育委員会の方針は、当初は盲学校へ行くように、そしてまた就学相談の中で行動観察などされ、積極性がない、そのようなことも言われたそうです。そして、普通学級は無理というようなことを言われました。しかし、お母さんの熱心な働きかけで、最終的には入学をしてもいいけれども、教材は自己責任で用意するようにということになりました。まさに今、入学を前にして障害のある子ども、そして保護者等の方々がぶつかる問題、壁と同じものです。彼が入学した20年前と変わっていません。
  障害のあるお子さんを持つ保護者の方が何かを学校にお願いするとき、あなたのお子さんだけ特別扱いするわけにはいかないと、学校長や担任などから言われるということをよく伺うことがあります。そして、特別支援学級が始まってから心障学級から養護学校へ、普通学校から心障学級へ、また通級へといった子どもの流れが多くなっていると聞いております。十分な保護者とのコミュニケーション、学校での対応のあり方、こういったことからの検討をし、普通学級でどういうサポートがあれば学習が可能なのか、生活が可能なのかということを検討した上での必要なニーズでなければ、インクルーシブな教育の実践はつくられていきません。
  梯さんのお母さんは教科書を全部点字につくり直し、またさわって理解できる教科書につくり直したということでした。多くのボランティアの方々の助けをかりても、なお徹夜の作業であったと本には書かれています。こういった、教育を受けるために当事者やその家族に過度の負担を強いていることは、まさに権利侵害になりかねません。盲学校へ行かなかったから、あえて普通学級を選んだからしようがないでは済まされない問題です。その当時、町田市では、行政の責任において特別な教科書が提供されていたということです。   そこでお伺いいたしますが、この梯さんと同じような支援が必要な子どもが普通学級を希望した場合、過度の負担にならないような合理的な配慮、これが今、八王子においてなされると確信していいでしょうか、御意見をお聞かせください。そして、このような合理的な配慮とはどのようなことか。それは、まさに1つ1つの実践の中で積み重ねていくことによって形づくられていくものだと思っております。
  そして次に、個別指導についてお伺いいたします。
  特別支援教育の場合には児童ひとりひとり、その子のニーズに合わせて個別指導計画を立てましょう、そのように言われているわけなんです。それは保護者や関係諸機関の協力で作成するというふうになっているのですが、具体的な支援体制や進捗状況はどのようになっているのでしょうか。また、このような個別指導、そしてその子への支援というのはどこで行われるのでしょうか。取り出し教育になってしまうのでしょうか。同じ空間を共有するということが総合教育の基本です。そして、そのことはすべての子どもにとっての豊かさにもつながるし、フィンランドの例でもわかるように、学力の向上にもプラスになっているわけです。
  しかし、そうはいっても、いつもではありませんが、パニックになって教室にいられないという子もいるでしょう。教師用の啓発資料、その中で紹介されている事例ですが、パニックになったとき、先生と図鑑を読む、静かに立つなどの約束をして、それができたときには褒められる。とても安心したといった子どもの声が掲載されていました。また、訪問したある小学校では、一番落ち着く場所に大好きな怪獣の本を持ち込んでいるお子さんもいる、そんな話も伺っています。教室がすべての子どもにとって安心でき、また落ち着く場所であることはまず一番に必要ですが、教室以外にも安心できる場所が学校にあってしかるべきです。保健室がある意味、そのような役割を担っているのですが、どの学校にも必ずある学校図書館も安心できる場所として、その役割を担えるのではないかと考えております。
  ことしの春、学校図書館を支援している市民団体、八王子に学校図書館を育てる会が実施したアンケートによると、1日中学校図書館があいているのはわずか 4.9%のことで、また放課後にあいているのも同じく4.9%。一番多かったのは昼休みで33.6%という結果になっています。以前、学校図書館の活用は司書教諭でという教育長の答弁がありましたが、学校図書館が十分機能していないことがこれらのアンケートから読み取れます。いつも図書館があいていること、そしてそこに人がいること、それがまず学校図書館の活用の第一の条件です。しかし、人がいれば、またあいていれば、だれでもいいのかというとそうではありません。情報の専  家、図書の専  家である司書がいることによって、初めて学校図書館としての機能を十分果たせるわけです。なぜ司書でなければならないのかということについては今回のテーマではないので省略いたしますが、読書のまち八王子の事業推進だけではなく、特別支援教育の視点から見ても、学校図書館に人がいること、しかも司書がいることが必要と考えます。お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  そして、八王子城跡トンネルについてです。何を根拠に水位が上がるというふうに信じているのか、なかなか理解ができません。まさに市長も答弁をしているように、水位が徐々に上昇していく。そのトンネル検討委員会の観測予測、それはまさに破綻しているわけで、市長自身も間違っているんじゃないのとおっしゃっているほどです。しかしながら、覆工の完成、覆工したときに私ももちろんこの水位が戻ること、それを本当に願っております。しかし、とても安心した気分になれない、安心した気持ちで見ていられないというのが素直な感想です。
  そして今、もし戻らない場合、また市の教育長の名前で出された依頼文の対応について、市教委としての働きかけの御報告がありました。ぜひこの点に関してはきちんと国交省からの報告を随時、適宜受け、また実際に現場をも視察するような中で、適切な働きかけを行っていっていただきたいと思います。
  これで2回目の質問を終わります。

◎【飯沢俊一議長】  学校教育部長。

◎【石垣繁雄学校教育部長】  子どもたちの安全ということで御質問をまたいただきました。行政としてさらに安全対策をという御意見だったと思います。
  児童、生徒の通学路などで防犯対策上重点を置かなければならない場所につきましては、現在、学校やPTA、地域からの情報をもとに、青色回転灯を装備した市の防犯パトロール車が、下校時間帯に重点的にパトロールを今しているところでございます。地域における安全・安心の向上策には行政による対応とともに、子ども自身の危険回避対応能力の向上、それと地域ぐるみで日常的、継続的な防犯体制を構築していくことで、不審者が出没しにくい地域づくりをすることが必要だと考えているところでございます。御質問者の方からクマこそ出ないということでございますけれども、これはクマより怖い不審者だと私も思っておりますので、ほとんどの学校で今マップづくりをしているところでございます。また、地域情報もいただいておりますし、市長へのメールでの情報もございます。これらの部分を危険分析をしまして、通学の安全指導に生かしていきたいと考えているところでございます。
  それからもう1つ、御質問だったかどうかちょっと定かではないんですけれども、由木地区の学校のことでございますが、通学区域、これについては2つの学校の通学区域ということにはならないだろうと思っております。通学区域は何校かにまたがっておりますので、そういうことも含めて今後対応して、考えていきたいと思っているところでございます。その際につきましては、地域あるいはPTAの皆様方の御協力もいただかなきゃいけないかなと思っておりますので、そういうところに私どもが入っていきまして、御理解、御協力をいただく中で、よりよい環境をつくるような形での対応をしていきたいと思っているところでございます。

◎【飯沢俊一議長】  教育指導担当参事。

◎【岡本昌己教育指導担当参事】  特別支援教育等について幾つか御質問いただきました。特別支援教育については教師の理解が必要であるというようなお話を冒頭いただきましたけれども、本市は御承知のように107校ございますけれども、モデル校は26校でやっておりますが、3年間107校全体でこのことについて取り組んできたという自負がございます。恐らくこれだけ大きな自治体で、特別支援教育について3年間取り組んだ自治体はそんなに多くはないと思っております。決して成果は目に見えて大きなものではないと思っておりますけれども、地道な積み重ねの中でこの3年間積み重ねてきたということについて、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思っております。
  なお、質問は4点ございますけれども、巡回相談につきましては先ほど申し上げましたけれども、これにつきましては本当に保護者の同意のもとで、それから保護者からの申し込みをもって行っておりますので、その辺は御理解ください。
  また、就学相談の方も一昨年、今年と非常に数がふえておりまして、就学相談室の対応者の人数もふやしまして、今、一生懸命対応しているところでございます。
  続きまして、障害のある児童、保護者の方の過度の負担とかについて合理的な配慮はどうかというお話を、梯さんの例をもとにお話しされました。今申し上げましたように、この支援は保護者による就学相談の申し入れから始まっているというふうにとらえて認識して、丁寧に対応をするようにしております。就学相談では養護学校、心身障害学級など、本人に最も適していると思われる環境を提案しておりまして、決して強制ではございません。それらがよりよい方向で、最終的には就学先で適正な支援が受けられるように配慮していきたいというふうに考えているところでございます。
  続きまして、個別指導計画のことでございますけれども、心身障害学級に在籍する児童、生徒の個別指導計画は既に作成されているところでございます。通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする児童、生徒につきましては、各学校の状況に応じて今作成を進めているところでございます。これらの支援は学級担任だけでなく、学校の組織体制のもと、関係諸機関との深い連携を図りながら、それぞれの児童、生徒の状況に応じ、それぞれに適した場で実施することが必要であるという形で、さまざまな模索を繰り返しているところでございます。
  最後に、学校図書館についての御質問をいただきました。特別支援教育との関係も含めて、子どもたちが心の居場所となるような図書館にしていただきたいという要望をいただきましたけれども、読書のまち八王子といたしまして、子どもたちが最も身近に本と親しむ場所として、学校の図書館は大変重要な場所であるというふうに認識しております。本市では学校図書館の読書指導員の活動内容、人数、配置校を一層拡大し、充実することによりまして、児童、生徒にとって読書を通じて心の安定が図れ、また心の居場所となるような図書館づくりを引き続き目指してまいりたいというふうに考えております。

◎【飯沢俊一議長】  第9番、陣内泰子議員。

                 ◎【9番陣内泰子議員】  いろいろ御答弁をいただきました。
  まず、その前に、実は私、今回、通告で、介護保険の影響その後ということも通告させていただいておりました。そして、本当はこの問題、まさに今、介護保険の改正によって経済的負担であったり、また医療改革によっての施設からの退所、そのようなことが今進行しているということについて、大変危機感を持っております。その問題については、この場で触れられなかったことは大変残念なわけですが、施設から出なければならない、その方たちが地域でどう支えられるのか。特養からもし出なければならない方は家の問題、そしてまた療養施設、老健施設に長い間入所されていた方が家庭に戻る。でも、果たして家庭の中で受け入れられるだけの関係ができているのか。また、共働きでなかなか見れるような状況にない。そうした場合に、本当にケアつきの住居、また地域の中で見ていくような介護と医療、それを両方見れるような住居そのものをも、今後、八王子市はぜひ検討していっていただきたいと思っておりますので、まずそれをつけ加えさせていただきたいと思います。
  3回目の質問です。
  今、特別支援教育についてのお話を伺いました。市の3年間のこの取り組みの自負、それを披露していただいたわけですが、私自身も別にそのことを不十分だと言っているわけではないのです。そして、このように梯さんのお話をさせていただいたのは20年前の話です。そして、このような特別支援、こういう方針が出る前も、ずうっと普通学級の中で学んでいる障害のあるお子さんたちは、それなりにたくさんいらしたわけです。そして、そういうお子さんたちに対して、先生方、そして学校、いろいろな努力、いろいろな経験の蓄積があったわけで、ぜひそういうことをも踏まえながら、この特別支援教育に役立てていただきたい、とてもそういうふうに思っているところです。
  そして、障害児の教育、障害児の対応に長らくかかわってきている医師の石川憲彦さんは、発達障害の支援という考え方に対して、このようにかくかくすれば各成果が上がるという明確な根拠づけを持った報告は一切なされていなくて、発達支援が有効であるかのように言われている、そのことが問題であると指摘しております。これは保護者にとっても、子どもの気になる状態にLDだとか、高機能障害自閉症だとか、名前がつくことによって、ある意味ほっとするという声も聞くことがあるのですが、このことと同じ関係があります。つまり子どもの多様な状況、なかなかじっとして話が聞けない、同じことを繰り返す、いろいろな子どもの状態があります。そのような状態に名前をつけ、それにはこうすることが有効だという、そのように子どもをあるコースに乗せてしまいがちになるのです。教師もこういった傾向が往々にしてあるのではないでしょうか。これが障害者づくり、障害者探しになってゆき、特別な支援教育、インクルージョンな教育を目指すと言いつつも、結果としてレッテル張りになりかねない危険性です。
  何が必要なのか。それは急なスケジュール変更にパニックを起こす。そういうことはあります。そういう子どもの場合にも教師が丁寧に説明することによって、それを回避することができる。このようなこともあります。そして、このような指導はパニックを起こしてない同じクラスの子どもにとっても何ら弊害はないし、かえっていい指導になるわけです。つまり、個別な支援も学習支援でカバーしていけるというわけで、個別指導計画に対する自主性については、十分な注意が必要であるということをまず指摘させていただきたいと思います。
  そして、教育長にお伺いいたします。まず、学校選択制についてですが、これについては私としては十分な合理的な実施する理由に欠けると思いますので、これについての御見解をお聞かせください。そして、人的パワーについては、専  性の配慮、それを踏まえての人的確保の見通しをお願いします。そして、特別支援教育についてですが、先ほどお話ししたように、今までの学校現場での実績の評価、その中での問題点の分析をぜひ全校で共有化をして、そして今後の特別支援教育の実施に役立てていただきたいと思いますので、そのことについてのお考えをお聞かせいただき、私の質問を終わりたいと思います。

◎【飯沢俊一議長】  石川教育長。

◎【石川和昭教育長】  3点、お尋ねをいただきました。
  1点目の学校選択制をどのように考えているかということについてですが、学校選択制により子どもや保護者の希望によっては、別々の学校に就学する地域も出てきております。その中では、就学する学校が異なっていても、それぞれが地域の子どもという観点で地域の皆様方には視野を広げていただき、地域の力を高めてほしいというふうに思っております。学校選択制の実施は、子どもや保護者が主体的に学校を選べるということが何よりも重要であり、選び、選ばれるという関係の中で学校と保護者の信頼関係が深まり、それが特色ある教育活動の充実など、学校教育の質の向上につながっているものと考えます。その中で多少の弊害が出てきたとしても、創意工夫を持って当たれば必ず解決できると考えております。
  2点目の学校の教育活動充実のための人的配置、これについての考えをということでございます。すべて教育は、人と人との触れ合いとお互いの深い信頼関係の上に成り立つと考えております。本市においては学習面、生活面での指導の人的支援として、アシスタントティーチャー、メンタルサポーター、学校図書館、読書指導員、さらには学校インターンシップ等の活用を図っております。それらを十分活用して学校全体での指導体制を確立しつつ、専  性を生かして、それぞれの役割に応じた柔軟な対応を図っているところです。この施策は、これからもずっと続けてまいります。また、次年度本格実施となる特別支援教育については、ある程度の専  性を有していることが、より有効な指導につながるものと考えておりますので、特別支援教育や教育相談等について学んだ大学生や教育支援ボランティアを、支援を必要とする児童、生徒の教育的ニーズに応じて配置し、個の実態に応じた教育活動を推進する所存です。
  それから、3点目のこれまでの特別支援教育での成果を教員が共有できないかという点についてでございます。これまでの取り組みの中で得られた成果や課題の共有化は大変重要なことだと考えておりまして、現在、特別支援教育コーディネーター研修会やパワーアップ研修会などを通じまして、すべての学校に共有化を図っているところでございます。今後もさまざまな機会をとらえ、特別支援教育についての学校の理解向上を図ってまいります。

◎【飯沢俊一議長】  以上で一般質問を終わります。

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