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2007年  第1回定例議会  予算に関する反対討論(3月27日)
◎【9番陣内泰子議員】 無所属の陣内泰子です。
 2007年度八王子市一般会計及び特別会計予算並びに関連する諸議案について、反対の立場から討論を行います。
 2007 年度予算では、一般会計では4.7%増となる1,671億円、8つの特別会計においては合わせて1.5%増である1,674億円、合わせて3,345億円の規模となっています。一般会計の伸びを見ると、何と言っても市税収入が939億円と過去最高額となっています。77億円の増収なのですが、その内訳は個人市民税が62億円増、法人税6.5億円、固定資産税6.5億円の増となっているところです。恒久的景気対策として1999年に導入された定率減税、法人税の引き下げ、相続税の引き下げという、この施策が、景気が回復していると言われている中で、何と定率減税のみの縮減、廃止という国の政策の影響が市財政の個人市民税の増の中に大きく影響を及ぼしているわけです。2007年度における定率減税の影響額は30億円、そしてこれは市税分だけのものですが、市民のお財布からは所得税に係る定率減税廃止分も支出されているところです。また、18年度から実施されている老年者非課税措置の廃止による影響も2007年度は前年に比べて負担が倍増しています。
 こういった市民に負担を強いる税制改悪のもとでの予算編成であり、市長も提案説明の中で実感なき経済成長であり、厳しい財政運営は避けられないとの状況判断をしていると述べているところです。
 さらに、介護保険制度の改正や介護保険料の値上げ、医療改革による高齢者の医療費負担増、そして、障害者自立支援法の施行などによって市民の暮らしにくさは際立ってきているところです。だからこそ、市として独自に市民の暮らしを守る政策を積極的に展開しなければならないことが急務であると、予算等審査特別委員会での意見で述べたところです。
 2006年度の市政世論調査の市民ニーズでは高齢者福祉が一番であったということは、こういった市民実感を反映してのことであり、真摯に耳を傾けなければなりません。2006年12月末の高齢化率は18.1%、これはどんどん上昇してきているところであり、また、本市の人口構成から言うならば、55歳から59歳、この層が大変多い。そのことを考えるならば、今からも早急に高齢者に対しての対策を積極的に進めなければならないことは目に見えています。
 介護保険制度改悪による電動ベッドの取り上げに対して請願が出されていたところですが、具体的な対応が出せない状況です。食べること、外出すること、集うこと、自立的な排泄など、こういった日常生活が高齢者の尊厳を守りながら地域の中で続けられるための施策展開を要望いたします。市は介護保険制度の実施主体者であるのですから、介護の社会化という理念に立ち返り、多様なサービスを積極的に展開する必要があります。
 教育環境の充実も2007年度の重点項目です。八王子の児童、生徒数は、2006年度は増加、そして、2007年度は少し減少となっていますが、結果として微増の状況です。2007年度からは特別支援教育の市内全域の実施があり、多様化する教育ニーズにどうこたえるか問われているところであり、マンパワーの充実が叫ばれていますが、それに十分、本予算はこたえるものとなっていません。次世代創造型予算であるとしているのですが、中学校給食の実施、少人数学級に対する独自取り組み、学校図書館の充実などが図られていないことは残念です。そして、4年目となる習熟度テスト、また、文部科学省による全国一斉学力テストの実施や、地裁にて違憲判決が出ている日の丸・君が代の強制など、学校現場は競争と強制といった閉塞状況を募らせていっているところです。市長が期待するような、子どもたちが自由に夢を描くことができる状況とはとても言えません。
 学校施設の面に関しては、トイレの改修等、計画が前倒しで進んでいることは大変うれしいことですが、児童1人当たりの校庭面積などに大きな格差があり、大規模化する学校への対策が不十分であると同時に、学級の適正規模に対する指針に基づく平準化に向けての努力がもっとされなければなりません。
 このような問題を抱えるその一方で、今年度も2007年度予算でも都市整備基盤を含めた都市の再生が重点項目にされているところです。都市整備基盤に対する市民ニーズは25位、3.6%でしかありません。高齢者福祉の9分の1以下の要望であることを考え、また、市民の声を聞く市政としては、これは甚だ矛盾している優先順位と言えます。八王子駅南口再開発事業の推進として、17億円の予算が計上されており、ことしの秋には一部着工との計画が示されています。しかしながら、なぜ再開発ビルの中に中央地区、地域事務所の設置が必要なのかという疑問に答えていません。駅前事務所が手狭であると言われているのですが、今現在、地域サービスのあり方の検討が進められています。地域サービスが充実すれば、駅前事務所への集中も分散化されることは目に見えています。ということは、駅前事務所を大きくする根拠もなくなるわけです。
 そして、何といっても、この地域サービスのあり方検討は始まったばかりであり、結論は何ら出ていない状況です。再開発事業があることから、先行して地域事務所を再開発ビルの中に設置するということですが、先行して実施する理由が見当たりません。主な理由はにぎわい、そのようなあいまいなことが示されていますが、事務所があるからといって、どれだけのにぎわいになるのか、その費用対効果が示されているわけではありません。地域サービスのあり方の方向性が出て、市役所機能の分散化が必要であるということが仮にはっきりした段階でも遅くはありませんし、中央地区の事務所をその時点でどこにするのか考えても十分間に合うことです。中心市街地に空き店舗等もあるのですから、そういった有閑施設の利用も当然考えられるべきであるわけです。
 また、市民会館の設置についても、いつの間にか客席数が1,900席にふえています。議会等での要望にこたえてということではありますが、利用する、そして、税金を払っている市民は、このことをどう思っているでしょうか。市民を置き去りにした議会だけの議論になっているのではないでしょうか。
 また、あの狭い地域に高さ150メートル、40階建ての再開発ビルが建つことによる風害や日照の問題、騒音対策などの環境配慮についても何ら示されていませんし、ランニングコストも示されていません。また、住宅・都市開発公社が10億円かけてつくる地下駐輪場についてもつい最近報告されたばかりであり、市の負担分の3億5,000万円については2007年度予算に計上されているわけではありません。つまり、再開発ビルを中心に八王子駅南口をどう整備していくのかといった全体像が示されない中での着工ということは問題があります。
 反対のための反対ではなく、まさにこういったさまざまな疑問に対して答え、合意形成していくといった努力をしていない、今のやり方は到底容認できるものではありません。
 また、施工業者は大林組です。大林組は、現在、市の入札の指名停止処分を受けているところであり、名古屋の地下鉄談合問題で起訴されています。八王子の下水道談合についても同様です。再開発組合との契約であり、市との契約ではないとはいえ、こういった企業が事業実施主体であることは、到底市民感情としても納得できるものではありませんし、市としての指導監督の点から言っても、再開発組合に再考を促すべきであります。合意形成とは、何も全員が賛成することを意味するものではありません。事業の全体像、資金計画、環境配慮への対応、効果、必要性の根拠、こういったことがきちんと説明されていること、それが大前提です。そうやって世論に訴え、合意形成を図っていくのですが、現段階ではこういった基本的なことさえも示されていないのですから、事業の一部着工など容認できません。
 反対という声と同時に、進めてほしいという意見も当然あるでしょう。しかし、市長は、何をやっても反対はある、意見が違うとして、反対の声に対しての説明責任を十分果たそうとはしていません。圧倒的に多くの市民の声としてはわからない、これが現実であるということを十分認識していただきたいと思います。  また、道の駅が4月にオープンします。道の駅整備に伴い、今年度予算では第2駐車場の取得経費が1億円余り計上されているのですが、当初の説明では借りるという話でした。安く購入できたからということでは説明責任を果しているとは言えません。当初、6億円余りの事業費であったのが結果として1.5倍、9億円以上になるということ、そしてまた、道の駅の開設に合わせて、ひよどり山有料道路の無料化、市道化が進められているわけです。道の駅の当初計画では、第2駐車場の買い取り整備、ひよどり山有料道路の無料化などは計画になかったものです。このように箱物をつくっていくということはそれに関連する開発事業をも誘発し、促進させ、結果として全体としての関連予算が膨らんでいくことになります。これではトータルなまちづくり、プランに基づく施策展開、予算による進行管理がとてもできるとは言えません。
 川口地区の物流拠点にしても同じことが懸念されているわけです。個々の施策に関して評価できるもの、努力されているもの、もちろんたくさんあります。市民サービスの向上に向けて、努力されている職員の方々には敬意を表するところですが、全体として予算の組み方そのものが市民本位になっていない。また、情報公開の不十分、これであることを指摘いたします。
 今必要なのは、まさに顔の見える施策展開です。福祉、教育にもっと予算をつけることが求められていることである。市民ニーズでもある。そのことを指摘して、反対討論といたします。
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