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2009年_第1回定例会(第1日目)包括外部監査(学校教育部)に対する質問 (2009.02.27)

◎【9番陣内泰子議員】 それでは、包括外部監査報告について御質問いたします。
 今回の監査対象は学校教育部にかかわるものです。教育という数値ではかることになじまない分野を対象にしているということから、契約や質の妥当性といったことだけではなくて、学校教育部が所掌する教育行政についても言及してあり、大変興味深く報告書を読んだ次第です。  監査は、選定の理由を、学校教育部の財務に関する事務が関連する条例、規則等に従って執行されているかどうかについて検証し、あわせて、教育行政の効果的、効率的な実施がなされているかどうかなどについて、外部監査を実施する意義は大きいものと判断するため、このように選定理由を述べているのですが、行政当局として、学校教育部を外部監査する意図といいますか、意義について、並びに、また今回監査対象としてこのような学校教育部が選定された理由について、お答えいただきたいと思います。
 次に、監査のやり方について、主たる事業を4つの視点、つまり、第1は児童、生徒、保護者の満足度の視点、2番目は教育のサービスメニュー、3番目、サービスメニューと対象とのマッチング、4番目に教職員の人材育成、こういった4つの視点から行われ、記載されているところです。学校を教育サービスの提供者、子どもたちや保護者をサービスの消費者というとらえ方には違和感を持つものではありますが、その点については別の機会といたします。
 そこで、この教育サービスメニューとして、アシスタントティーチャー派遣や外国人派遣、理科支援員配置などが監査対象になっているのですが、この中で学校図書館への言及がどこにも見当たりません。学校図書館の充実については、学校教育部としても、読み、書き、調べる、このことの重要性を認識しているところと理解しているわけですが、なぜ、学校図書館への認識が今回の監査から抜け落ちているのか、その理由についてお答えいただきたいと思います。
 次に、総論です。総論では、学校経営というものはいかにあるべきか。また、どういった手法が必要なのかと問い、そのためには、民間企業の経営の成功事例に対する研究を行うべきであるとしています。具体的には、顧客である児童や保護者に対し、みずからの学校が提供する教育サービスがいかに有意義で効果的であるかという情報発信の努力と同時に、組織が持っている資源、例えば教員といった人的財産や、地域などの外部環境や物理的財産の評価を行い、何が強みで、何が弱みであるのかを客観的に把握して、戦略を立てなければならないと監査では言っているわけです。
 こういった視点から見て、現状の各学校が策定している学校経営計画が具体性に乏しかったり、基礎的なリサーチ不足であったりというように、形式的な作成だけに終わってしまうおそれがあるように感じられる。このようにも指摘しています。
 こういった学校の経営計画に対する指摘を学校教育部としてはどう受けとめているのでしょうか。お答えください。
 また、形式的になっているのではないかとの指摘の原因をどのように考えているのでしょうか。この点もお答えください。
 また、さらに、監査人が提示するような学校経営計画の作成の実施可能性の見通しについてもお答えいただきたいと思います。
 次に、各論としての個別意見についてです。82ページの保護者負担金についてです。
 まず、給食費の未納についてです。監査では、未納問題に対して、学校長の強いリーダーシップを求め、保護者に対して、債務確認や督促記録の保存などを意見として述べています。未納者の半数近くが未納要因でその他に分類されていて、この点については事務管理の怠慢を免れないと考えているわけですが、その一方で、同じく、半数近くが経済的理由による滞納となっています。この点に関しては、徴収プレッシャーで解決するとは思えず、学校長の権限を超えるものでもあると考えるところから、準要保護基準の見直し等で対処すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。
 次に、給食以外の保護者負担金についてです。担当から提出いただいた資料によると、2007年度の小学校での保護者負担は、給食費を含めて4万8,480円、中学校では3万7,864円、このようになっています。監査報告にもあるように、2004年10月の学校における保護者負担の軽減に向けて都の報告書が出された結果から、修学旅行費用の一括契約等の努力によって軽減はされてきているとはいえ、まだこれだけかかっているのが現実です。
 小学校では、学校給食費に次いで多いのが教科活動費、中学校でも修学旅行費用に次いで多いのが、この教科活動費です。学校への配分予算などの増額によって、こういった教科に関する費用の軽減を図ることはできないのでしょうか。お答えください。
 日本は、教育への公的支出が先進国で最低レベルであり、私費負担が大変多くなっています。そのような中、100年に一度ともいわれる金融危機、そしてそれに伴う雇用不安という社会状況がすぐに改善されるとは思えない今の現状を考えると、社会や親の事情という、子どもとは直接関係ないところで、子どもが教育から排除されるようなことがあってはなりません。
 そこで、監査の指摘にもあるように、保護者負担金の管理状況の実態把握を早急に行うとともに、保護者負担金の軽減の検討に取り組んでいただきたいと考えますが、この点についてどう対処されるお考えでしょうか。お答えください。
 この監査報告と同時に出された教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価の報告書、これにおいては、学識経験者を有する者の総括意見として、昨今の経済事情を考慮すると、経済的な理由で就学困難になっている児童、生徒に対しては、学校とも連携しながら、学用品費、給食費などを援助する制度の積極的な周知に努められたい、このようにも述べています。周知と同時に、現状の支援で足りているのかどうか、適切なのかどうかの検討にもぜひ踏み込んでいただきたいと思います。
 次に、特別支援教育についてです。88ページです。
 特別支援教育に関しての監査では、会計事務手続については特に問題はなかったとしていますが、次のような意見が付されています。1つは、専門性の確保について、2つ目、研究調査活動について、3つ目、教師の活動指標と評価、このような3点です。特別支援教育は2007年度からの本格実施で、行政としてもさまざまに努力がなされているところですが、ニーズが先行している状況です。
 また、これも資料によりますと、この10年間で、小学校の固定級の在籍児童数は約2.6倍、通級学級においても2.4倍と大きくふえています。また、中学校においても同様の傾向が見られています。特に、情緒障害等の通級在籍者は、小学校、中学校ともに、この10年間で5倍になっているという状況が見られるわけです。
 こういった状況に対して、どのような教員配置の努力がなされているのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
 そして、専門性の確保についてですが、監査では、小中学校の特別支援教育を実施している教員の専門性、専門教育履修状況などをデータベース化し、教員ひとりひとりの資質向上に貢献することによって、児童、生徒及び保護者の満足度向上に寄与することが重要との意見を述べています。もちろん、固定級や通級で特別支援教育に直接携わる教員や指導補助員の専門性の向上は言うまでもありませんが、本来的に必要なのは、全教員の特別支援教育への理解であり、専門性の確保であると考えています。ふえ続けている特別支援教育へのニーズを前にして、多くの担任教師が子どもへの対応に困り感を持っていることが容易に想像できるわけです。
 特別支援に対する教員の研修並びに教師の戸惑いや困り感、こういったものへのサポートシステムを今後どうやってつくっていこうとお考えなのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
 専門教育の履修といった知的習得にとどまらない実践研修やケアのノウハウも必要になってくると考えているところです。
 最後に、研究調査活動についてです。
 監査は、研究調査活動をどうより多くの教員が共有できるようになるか、あるいはその活用の仕方などについて、現在の活動を評価しつつも、さらに発展させるための幾つかの提案を行っています。現場教員による実績報告や改善提案などを公表する場の設定や、特別支援活動成果を学校評価の一視点として取り入れるなどの提案になっています。このことは、現場教員の努力、要するにボトムアップを促すトップの力量が問われているとも言えます。
 そこでお尋ねいたしますが、こういった監査人による提案を、また、どう受けとめ、今後の対応において何が必要とお考えでしょうか。  実は先日、こども家庭部が主催する特別支援教育に関する保幼小連絡会のシンポジウムに参加した折、パネラーの特別支援コーディネーターの養護教員の先生の実践の報告が大変すばらしいものでありました。そうしたところ、会場から、ぜひこういったシンポを各学校でもやってほしい、そのような声もあったわけです。
 また、その場には、残念ながら、保育関係の方は大変多く参加されていたのですが、学校関係の方はそれほど多くいらっしゃらないようでした。つまり、学校現場での取り組みにもばらつきがあり、なかなか先進事例が共有されていない。調査活動や研究成果の一般化の難しさを感じたわけで、ぜひ、今後の対応について、何を必要と考えるか、その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

◎【高木順一議長】 行政経営部長。

◎【小島敏行行政経営部長】 監査テーマの受けとめについての御質問をいただきました。  監査テーマの選定につきましては、地方自治法252条の37、第3項の規定によりまして、監査人が決定することとしております。
 選定理由につきましては、御質問者からも紹介がございましたけれども、聖域を設けず、行政のあらゆる分野に専門家の視点でさまざまな分析がなされることで、行政運営の健全性が確保されるものと思っております。
 次に、学校図書館への言及がないのはという御質問でございますけれども、一般的に、監査範囲につきましては、金額が多額で重要なもの、あるいは誤謬の頻度の高いもの、こういったものを重点的に行うというふうにされております。そういう中で、監査人が総合的に判断をしたものと受けとめているところでございます。

◎【高木順一議長】 教育指導担当参事。

◎【由井良昌教育指導担当参事】 学校経営計画に関する指摘事項についてでございます。
 まず、学校経営計画や学校評価につきましては、本市独自の実施指針などを作成して、各学校における取り組みの一層の充実を図っているところでございます。ただ、来年度からの正式導入ということでございますので、形式的ではないかというお話がございましたが、まだ十分に浸透してない部分はあるというふうに受けとめてはおります。
 指摘事項は教育委員会が取り組んでいる方向と一致しておりますので、実現可能で効果が期待できるものについて、今後推進していきたいというふうに考えております。
 次に、特別支援に関することでございます。特別支援学級の在籍する児童、生徒はふえているが、教員の配置はということでございますが、正規の教員以外に、市費で指導補助員を配置して、在籍する児童、生徒の指導の充実を図っているところでございます。
 次に、教員あるいは学校の特別支援に関する教育力を高めていく、そのあたりのところでございますが、これまでも、教員につきましては研修や巡回相談などで専門性の向上を図ってまいりました。また、外部人材についても、今年度から特別支援学校や民間の養成機関と連携を図りながら、研修を実施してきたところでございます。今後、管理職研修も含めまして、特別支援教育における学校の教育力を高めていくために、専門性の向上に努めてまいります。

◎【高木順一議長】 学校教育部長。

◎【石垣繁雄学校教育部長】 私の方は、就学援助の認定基準の引き上げ、それから公費負担の部分についての軽減という2つの御質問がございます。
 まず、就学援助の認定基準の引き上げについてということでございますが、就学援助の現在の認定基準につきましては、生活保護世帯の1.1倍の所得以下としておりまして、国が示す対象要件や近隣実際との比較などから、今のところ、適切だと考えているところでございます。  しかしながら、昨今の経済情勢、これらを勘案し、また、今後の動向を見ながら、適切な認定基準については判断していきたいと考えているところでございます。
 次に、公費負担の部分での軽減ということでございますが、保護者が負担する教育費は、修学旅行や移動教室にかかわる費用、教材費など、児童、生徒に還元される性質の強いものですから、公費による負担ではなく、保護者にお願いしているということでございます。
 保護者負担のさらなる軽減ということですが、入札によるなど、適切な契約手続に努めることで軽減される部分もございますが、どの程度まで保護者に負担していただくかということにつきましては、本来、保護者の方に判断、納得していただくことなのかなと思っております。そのためには、判断していただく材料を提供し、契約手続や会計手続に透明性、公平性を持たせることが重要だと考えております。
 また、実態把握につきましては、今のところやっているところでございますが、さらに工夫を重ねると同時に、不足していないかどうかという部分は、そういうものを調査を強めまして、判断できるように今後していきたいと思っているところでございます。

◎【高木順一議長】 第9番、陣内泰子議員。

◎【9番陣内泰子議員】 お答えをいただきました。追加で少しお伺いしたいと思います。
 学校図書館の充実の問題を教育サービスとして、これは監査人がその重要性を理解しなかった、監査人の触手に触れなかったということであり、また、金額の多寡の問題でも、それほど多くの費用が投入されていなかったので、これがひっかからなかったという御答弁でありました。しかしながら、監査をするに当たりましては、学校教育部でのヒアリングや資料提供、そういうものが行われたわけで、私はこれは学校教育部としての学校図書館に対する位置づけ、それが明確でなかった。また、説明に対しても、その重要性をきちんとアピールできなかったということにあるのではないかなというふうに思っているところです。
 施策体系で言っても、生涯学習部の読書のまち八王子の一環として位置づけられていたり、また、学校教育部としては、地域の連携という項目でのくくりにもなっていたりします。これでは教育資源としての学校図書館の充実の進展はなかなか望めないかと思います。ぜひ、学校教育部の中でしっかりとした位置づけをして取り組んでいただきたいと、これは要望いたします。
 学校経営計画について、その取り組みを始めたところ、来年度からの本格実施というお話でありました。監査の指摘はもっともであるところですが、タイムラグがあり、そういった中でもう少し時間をかけて見守ってほしい。そのような内容の御答弁であったかと思います。
 そしてまた、監査人と同じ方向を見ているということなので、この取り組みに関しては、順次充実していくというような内容でもありました。しかし、学校長は経営のプロではない。このことは監査人もその報告の中で述べているところです。
 また、今学校現場で進行している学校長をトップとする管理体制からは、現場の先生方の創意工夫や良好なコミュニケーションがつくられにくくなっているように感じるわけで、その結果がマネジメント不足であったり、また、形式的で理念的な計画づくりになっているのではないかと思います。つまり、取り組みが始まったばかりなので、不十分さが指摘されているわけではなくて、今の学校が持っている組織的な問題点、校長と教員の関係、また教員の多忙さ、そのような原因があると考えるのですが、この点についてお考えをお聞かせください。
 また、学校経営という考え方、また、学校は教育サービスを提供し、児童、生徒及び保護者は、そのサービスの消費者という考え方、これに関しては現場サイドからも大きな違和感があるのではないでしょうか。もちろん、経営の手法で学ぶべきものは多くあるでしょう。先ほどの行政経営部の御答弁でも、学校教育に関しても聖域ではなく、適切な運営が行われるためにも監査が必要という御答弁がありましたが、そういう意味で、経営の手法に学ぶべきものはあるかとは思いますが、学校とは、物を売り、利益を上げることを旨とする民間企業とは私は根本的に違うものと考えています。行政サイドから進められる学校経営というやり方に、現場がついていっていない、ついていけない。そのそごが、何のため、だれのための学校経営計画になっているのかわからなくなっている。それが原因なのではないでしょうか。その意味で、このまま学校経営という手法で教育を進めていくことに、私は大きな危惧を感じているわけです。この点について、学校教育部としての今後の方向性、御見解をお示しいただきたいと思います。
 最後に、ノーマライゼーションの推進を図るには、余りにも今、現場の先生方の環境が厳しい。物理的、精神的に厳しい状況になっていること、これを改善しなければならないと思います。特別支援教育へのニーズが高まっているということは、一方で、一斉授業の学級にいたのでは子どもが壊れてしまうという保護者の心理でもあり、また、普通学級からはじき出されてしまう子どもの増加という側面もあるわけです。これらの解決の物理的方法の1つとして、少人数学級の実施があるということを申し添えて質問を終わりたいと思いますが、先ほどの2点について御答弁をお願いいたします。

◎【高木順一議長】 教育指導担当参事。

◎【由井良昌教育指導担当参事】 学校経営計画に関することでございますけれども、形式的、理念的になっているというお話ですが、これまで学校が示したものは、校長が示していたものは、学校経営方針というもので、それがどちらかというと理念的、形式的なものであって、それをより具体的で計画の伴うものにしていくというのが学校経営計画の趣旨でございます。ですから、その学校経営計画に基づいて、具体的に何をしていくのかということも教員はともども考えていけるわけですので、そういう意味では、形式的、理念的なものから、より組織的、具体的なものに変わっていくというふうに考えているところでございます。

◎【高木順一議長】 学校教育部長。

◎【石垣繁雄学校教育部長】 教員の多忙性というお話が出ましたけれども、確かにそこら辺のところはいろんな事務が出ていますから、私どもも感じておりますから、そういう部分についての対応は今後も考えていきたいなと思っているところでございます。
 ただ、監査の方の指摘の趣旨、これにつきましては、経営的な部分について、議員の方からいかがなものかというお話がございましたけれども、私の方では今、教育委員会では、教育基本法に規定されております教育基本計画としまして、ゆめおり教育プランを策定しているところでございます。このプランにおきまして、監査の方から指摘のあったこと、その経営的な視点ということも参考にしまして、行動計画は定めていきたいなと思っているところでございます。
 また、学校経営のあり方について、現在、学校経営計画と学校評価を充実させようとしておりますけれども、教育サービスとコストの意識という点も、全否定ではなくて、そういうことも入れながら、そういう視点を持っていくことも大事だろうと思っておりますので、そういう視点も入れながら取り組んでいきたいなと考えているところでございます。

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