[プロフィール] [活動日誌] [議会報告] [イベント案内] [みんなの居場所] [つくる、つくろう通信] [政策] [トップページ]
<<議事録メニューへ >>
2009年度_予算等審査特別委員会(第6日目)一般会計についての意見(2009.3.25)
◎【9番陣内泰子議員】 それでは、市民自治の会の陣内泰子です。2009年度八王子市一般会計及び各特別会計予算、並びに関連諸議案について、意見を申し上げます。
 本予算は、未曾有の世界的金融経済危機に伴う急激な景気減退の影響から、免れることができない極めて厳しい状況で行うこととなったとし、法人市民税21億円減など、深刻な財源不足のもとでの編成作業になったと提案説明では述べています。しかし、市長は、こうした苦難の中にあってもひるむことなく、創意工夫を凝らして、まちや市民の元気、活力にも意を配した八王子元気推進計画予算になっていると胸を張ります。緊急雇用対策本部をいち早く立ち上げ、雇用継続の支援に取り組んでいることは評価するものですが、予算編成に当たっての基本的な認識、市民生活が一体どのようになっているのかという認識が実態と大きく乖離しているという危惧を、この間の議論を通じて感じているところです。
 市民の元気の一つ、安心して子どもを産み育てられる環境整備の課題についてです。妊婦健診助成の利用回数の拡大、助産院も利用可能になったという扱いは評価するものですが、この間、窓口に殺到する保育園申込者への具体的な対策が見られません。もちろん、新園の開設等、定員増に取り組んできているということではありますが、この半年余り、急激に落ち込んだ経済危機による派遣切り、失業等の雇用不安による保育園希望者の増大に十分対策が込み入ってきていないのが現状です。民間事業者に頼らざるを得ない状況とはいえ、この民間事業者も保育士不足を抱え、市の支援が強く求められるところです。保育士の掘り起こし、継続就労支援、そして高額な認証保育園との保育料格差の是正が急がれます。
 都立小児病院の移転については、ほぼ課題はクリアできたとされ、残すは跡地の譲渡条件であるということではありますが、果たしてそうでしょうか。NICUがこの八王子からなくなるということに対する具体的かつ明確な方針が示されていません。中核病院での将来的NICU設置を見通しての都立病院からの医師派遣という対応が示されているのですが、現実と期待との間に大きなずれがあり、かつ目的に対してその手段が適切さを欠いています。それでなくても、区部に比べNICU過疎地区になっている多摩地区において、北西部地区をカバーするこの八王子でのNICU設置は譲れない小児医療の生命線と言えます。
 教育費についてです。今日の教育的課題は、だれもが学びの場にアクセスでき、生きる力を育て、かつ貧困の連鎖を断ち切ることを目的としなければなりません。本予算の教育費を見るならば、耐震化工事や校舎改築などの学校整備費の伸びは飛び抜けているのですが、その一方、小学校費、中学校費といった運営費は昨年に比べて2億5,500万円もの減。メンタルサポーター費用や特別支援教育費用も、ニーズが高まっているにもかかわらず、減額となっています。しかも、特別支援教育のサポートとして、国から地方交付税見合いではあるのですが、2008年度においては1億3,000万円余り、2009年度においても、昨年以上に国からの配分が予定されているとのことですが、これらが教育の人的サポート費用として生かされていないのが現実です。納得がいきません。もちろん、地震などによる校舎倒壊の危機を回避することは急がなければなりません。また、国の補助率もアップはしてきています。であれば、それと同程度に、いや、それ以上に、ソフト面での教育の充実が図られなければなりません。高校進学率が東京都の平均をこの10年間下回っているという事実があるにもかかわらず、これらが八王子の政策課題にならず、ハード重視の教育予算となっています。12歳から14歳の子どもの貧困率が高くなってきており、世代間の格差が広がっていることからも、貧困の連鎖を断ち切る施策を求めます。就学援助にしても、必要範囲はカバーをできているとの答弁ではありましたが、それでは現状維持でしかなく、断ち切るだけの援助になっていないということをしっかりと認識していただきたいと思います。
 市債についてです。 2009年度の市債発行額は153億6,300万円で、昨年に比べて66.9%もの増になっています。返す以上に借りないというルールを守っているとはいえ、一般会計の現債高においては12億5,200万円もの増になっています。下水道の事業収束などに伴い、全会計での合計借金が減ってきているからなのですが、一般会計の現債高がプラスに転じたことに危惧を持ちます。この返す以上に借りないというルールを、全会計トータルで考えるのではなく、各会計ごとにも適用していくようにしなければ、国と同様、借金体質は変わっていきません。しかも、歳入では法人市民税の落ち込みばかりではなく、個人市民税の減収も今後十分に予想されることを考えるならば、公共事業の選択にももっと厳密な費用対効果から見たチェックや、その波及効果の具体的可能性などを市民に提示し、市民とともに検討する精査が必要であることは言うまでもありません。しかし、残念ながら、本予算において、こういったことが十分に検討されたとは言いがたい。南口再開発ビル内に入るとされている中央地区地域事務所の必要性や、新体育館建設準備も今のこの時期に必要なのか。また、八王子駅北口整備においても、中心市街地の活性化とどう結びつけて整備するのか、もっともっと議論されなければなりません。
 2003年、2004年、2005年と減少してきた投機的経費ではありますが、2006年から連続して3年ふえ続け、とうとう本予算においては昨年を大きく上回る54.4%増の、何と約324億円になっています。昨年の予算審議の折にも、公共事業がメジロ押し、しかも単年度で終わるものではなく、市民への負担は大きなものになっていると指摘いたしましたが、そのことがより現実のものとなってきました。今、このような不況下の中で、1.5倍にも膨らんでいるこの投機的経費、これはまさに箱物依存体質であると指摘せざるを得ません。建物、道路をつくっても、人の心は豊かにはなりません。まちを元気にするのは建物ではなく、それを享受する人がいて初めて元気になります。
 アメリカの1929年の恐慌の折、職を失った人を職業訓練校や大学に入学させ、二、三年してしっかりと人材育成を行い、経済が安定し始めたころに優秀な人材として社会に送り出したという話を伺いました。まさに今必要なのは人づくりと生活の安定であると強調し、反対の意見といたします。    <ページトップへ>