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2009年_第3回定例会(第5日目)一般会計補正予算に関する反対討論
一般会計補正予算に関する反対討論
◎【9番陣内泰子議員】 市民自治の会の陣内泰子です。
 それでは、第75号議案、2009年度八王子市一般会計補正予算について、反対の立場から討論を行います。
 今回の補正の大きな柱は、政権交代前の5月に確定した国の第1次補正予算にかかわる事業並びにその関連予算です。本市においては19事業、総額約29億円余りがそれに当たります。この国の1次補正予算は、定額給付金同様前政権の起死回生をかけてのばらまきとも批判されていたもので、暮らしに直結するものもあるとはいえ、10月2日までをリミットに現政権によって見直し作業が進められているところです。理事者からは、今回市が提案している補正予算はソフト面においてもハード面においても無駄なものは一切なく、速やかに執行できることを願っているとの発言がありましたが、国の方針が決まるまでは執行を見合わせるとのことでした。
 私は、今回の国の補正予算関連でスクール・ニューディール構想に大きな疑問を持っているところです。このスクール・ニューディール構想とは、学校施設における耐震、エコ化、ICT化の推進を行うもので、今回の1次補正で国庫補助金総額4,881億円が予算化されているところです。21世紀の学校にふさわしい教育環境の抜本的充実を図り、雇用創出、経済波及効果を期待し、地域活性化、国際協力の向上を目的としているものであります。この構想に沿って市が事業化したものが全小学校並びに高尾山学園においてのパソコン40台化、校務パソコンの整備、地上波デジタルテレビ導入、電子黒板などの教育用ICT基盤整備事業であり、予算額は8億円余りになります。中学校の武道場新設もその一環との御説明でしたので、その経費約10億円を加えるならば、何と国の補正予算、八王子分29億円の3分の2がこの教育関連費に振り分けられているところです。
 このように大きく教育費事業が行われる理由として、教育予算が少ないとの批判があることを考慮してとの発言もあったところです。しかし、教育長が、いみじくもハードが整えばいいとは思っていない、人件費にかけるならばもっといい教育ができると発言されたように、これだけのハード整備が本当に今必要なのかどうか、改めて吟味されなければなりません。もちろん、今回の国の補正予算の性格が、景気回復、経済浮揚策としての意味合いがあることは十分承知はしていますが、教育においても、人を育てることよりも物をつくる、物を使うことに力点が置かれた点が大きく民意とかけ離れていると言えるのではないでしょうか。施設整備の担当者から見るならば、まさに千載一遇のチャンス、この時期になかなか整備できない学校環境を整えたいとの心情は痛いほどよくわかり、またその努力にも敬意を払うものではありますが、さまざまに提案された事業の中で、このように教育環境ハード整備に大きく偏ったということに対し、前政権と同様、当市理事者のハード重視志向がうかがえるところです。
 さて、教育用ICT基盤整備として小学校のパソコン40台化についてですが、今回の事業予算案からはどのように学校ICTを進めていくのかという青写真が見えてきません。学校での情報教育の重要性は今後ますます重きが置かれてくるのであり、また、その中心となるのは学校図書館であり、学校図書館が結ぶさまざまなネットワーク化、そして、子どもたちに情報の使い方やあふれる情報から必要な情報へと導いてくれる水先案内人としての図書館司書の活躍と言えます。
 しかしながら、残念ながら、そういったICT教育環境の整備に対する全体的発想は見られません。わずかながら、ICTスクールアシスタント派遣が予算化されてはいますが、その目的は学校ホームページの充実のためであり、情報の水先案内人となり得る人材にはほど遠いと言わざるを得ません。それと機械があればいいというものではありません。それどころか、学校の先生1人1台のパソコンも整備されていない現状で、どうやってICT教育を進めようとしているのでしょうか。少なくともまずやるべきことは、教師へのパソコン配備であり、情報教育の進め方を教師が習得することであり、それからでも子どもたちへの40台化は遅くはないはずです。教師へのパソコン配備については、委員会の審議においても指摘されていたところです。
 また、パソコン授業を40人をベースにすることにも果たしてこれでいいのか疑問があります。まず、既に20台は備えつけられているわけですから、20人ずつの授業であってもいいはずですし、そういった少人数でのパソコン授業の方が、ひとりひとりに丁寧に教えられる効果もあると思うのですが、いかがお考えでしょうか。
 また、電子黒板や地上波デジタルテレビの導入に対しても、現在教育の中でのテレビの活用方法をきちんと検証してからでも遅くはありません。電子黒板に至っては、あれば便利かもしれませんが、何で今これを学校に配置する必要があるのかと大きな疑問を禁じ得ません。
 武道場の新設についてです。今回の補正予算で8校分整備、これで中学校の4割がカバーできるというもので、2012年からの新学習指導要領による武道必修化への対応とのことでした。今後も可能な限り整備していくとの方針です。しかしながら、年間10時間の武道授業のために1億円程度の費用をかけてつくる武道場新設の必要性に対しては委員会からも疑問が呈されていました。委員会質疑の中で、3クラスある中学校の全学年全クラスがたとえ使ったとしても、年間半分程度の使用頻度しかないとの指摘がなされている。それに対して他の用途や地域への開放なども考えられる。また、水泳も年間10時間であるとの答えでありました。
 しかし、この武道場の稼働日数は半分程度か、もっと少ないと言えるものであり、また、水泳はプールでしかできないわけで、それとの比較は論理のすり替えになります。武道場がなくても、柔道、剣道、相撲などの授業を今までもやってきていることとはわけが違いますし、ましてや地域への開放を武道場新設の一つの根拠にするのはまさに本末転倒と言えます。地域活性化のために新たな公共事業が必要というのなら、一つでも二つでも保育園の建設、改修などに踏み切っていただき、待機児童の解消や地域雇用へとつなげていただきたいと考えるものです。
 以上、見てきたように、スクール・ニューディール構想は、耐震化推進や学校の太陽光発電などの自然エネルギー化推進など推奨すべきものはありますが、今回の市が選択した事業はいずれも政権交代という民意によって変更されるべきものであり、また、市においても混乱が生じるものであるとは言えません。また、たとえ国において凍結されずに執行対象とされたとしても、今八王子にとっての緊急課題とは言えないと結論づけ、反対討論といたします。
 ただ1つつけ加えさせていただきたいのですが、厚生委員会所管分の離職による住宅喪失者への支援としての1,785万円については凍結されることはないと考えますが、万に一つ、そのようなことがあってもぜひ一般財源で実施していただきたい。それは昨年来の経済不況に対して積極的な支援を行ってきた八王子市の安心に対する取り組みの延長とも言えるからです。  以上をもって終わります。
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