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2009年_第4回定例会(第6日目)
学童保育所の指定管理者の指定についての反対討論(2009.12.15)
八王子市学童保育所の指定管理者の指定に関する反対討論
◎【9番陣内泰子議員】 それでは、第112号議案、八王子市学童保育所の指定管理者の指定について反対の立場から討論を行います。  内容は、八王子市立弐分方小学童保育所の指定管理者として株式会社プロケアを指定し、指定期間は2010年4月1日から2015年3月31日までの5年間とするというものであります。八王子市が学童保育所の管理運営に指定管理者制度を導入したのは2005年4月からであります。この最初の募集のときに応募してきたのがこのプロケアであります。このときは4つの学童保育所の指定管理者を公募し、プロケアが弐分方小、並びに小宮小学童保育所の2つの指定を受けました。このときの選考委員会は、プロケアが4つの学童保育所の管理運営に応募して、すべてにおいてトップの得点であったが、総合的に判断して、弐分方小並びに小宮小学童についてはプロケアに、そして、他の2つについては2番目の得点のところを指定するという判断をしました。その1つが第113号議案で指定されている現職八王子市議の2親等の親族が理事をしている法人であります。
 プロケアがすべてにおいて高得点をとった理由として、議事録を見ると、プレゼンテーション能力が大変高かったということがうかがえます。また、資格要件であった市内に事業所を持っている、あるいは市内で学童保育所あるいは認可保育園等を運営しているという要件に関して言うならば、プロケアはどちらにも該当していません。委員会の御説明では、本社でなくても、事務所を市内に開設しているので、問題はないというものでありました。事務所開設はまさに指定管理者に応募するためだけのものであるということはその開設時期を見ても明らかであります。
 市は、市内業者を育成するという方針を持ちつつも、プロケアに関して言うならば、事務所開設をもって市内業者に準ずるという判断をしたわけです。審議の中で、この点についての疑念、また、学童保育の運営経験についても1年足らずということで不安の声もあったわけですが、賛成多数で議決されました。ある意味行政にとっては大変期待されてのスタートであったようです。
 さて、翌2006年4月、指定管理者制度の本格実施に当たり、この4学童保育所については特命で指定管理期間を2010年3月31日まで延長いたしました。しかし、この1年間の指定期間内においてプロケアの学童保育所運営については、保護者との間で幾つかのトラブルも発生していました。行事日程が保護者に知らされない。若い、ふなれな職員が多い。地理に不案内のため、無理な行事遂行による、児童への負担などということが議事録からも明らかになっています。プロケアの保育能力担当については学童保育所としての他市での経験が1年未満で不安という声、並びにプレゼンテーションが上手なことと保育の質が高いということは違うのではないかといった声などが当初から出されていたわけですが、まさに現実になったわけです。
 また、2006年に新たに4つの学童保育所の公募が行われ、プロケアを含め、10事業所が応募。うち市内事業者が8つということでした。結果として新たにプロケアが子安学童保育所の指定を受けるに至っています。しかし、このとき、他施設の指定を受けた市内社会福祉法人より、点数にして43点──350点満点であります──も低い。そしてまた、最低基準、これは満点の60%なんですが、それをわずか19点しか超えていない。そのような採点結果であったわけです。しかも、このプロケア1年後の認定に関しては、1年間の実績があるということも考慮されての判断であったことも議事録から推測されます。低い得点グループの中でのトップということで、指定管理者の質のばらつきが大いに問題とされました。  この点は、2006年から導入されたモニタリング調査結果にもあらわれています。つまり、プロケアの利用者満足度調査結果で、満足と答えた人が弐分方小学童においては77%しかありませんでした。この子安学童保育所についても満足と答えた人は86%。おおむね他の指定管理者施設においては93%以上──100%が多いわけですが──であることを考えると、大きな保育運営上の課題があると言えます。
 さらに、モニタリング調査を見てみると、2007年度は、他の施設がA評価であるのに、プロケアのみB評価、満足度調査においても、他はすべて100%であるにもかかわらず、この事業体は91%にとどまっています。
 2008年はさらに深刻な結果が出ております。モニタリング調査において事業計画に基づいた行事が行われているに関してはC評価、収支計画が適切に執行されているかという項目については適正でないとされています。また、保険加入に関しても市が示す基準を満たしていないということで、適正でないと判断されています。総合評価はC。プロケアのみです。
 こういったプロケアに関する経過がある中で、今回行われた選定でありますが、今回も採点結果が低いグループ内での選考であり、また、応募団体11ケースの採点結果順では下から3番目、他の指定管理者が400点満点のうちすべて7割以上を取得しているわけですが、この事業体は62.5%にしかすぎません。しかも、当初応募のために市内に事務所を構えていたわけですが、いつの間にかその事務所も市内には存在していません。つまり、プロケアは、1つ以上の学童保育所の指定管理者になったことによって、そのことを応募要件にできるわけですから、市内から事務所を引き払ったのも、ある意味企業論理から言えば、当然の成り行きと考えられます。
 市内社会福祉法人、また、NPO法人などが着実に学童保育所事業のノウハウを蓄積し、実績を上げてきている中、プロケアは、市内業者であり、かつ、市内拠点もなく、モニタリング調査などから見ても、事業の蓄積を行ってきているとは言えない状況と判断せざるを得ません。  また、2007年の包括外部監査の指定管理にかかわる事務の執行についてを見ると、プロケアは学童保育所の指定管理者6団体のうち一番人件費割合が低く、特に児童1人当たりの非常勤職員人件費は大変低く抑えられている状況がわかります。これからの5年間、この事業所を指定管理者に指定することが八王子の学童保育の進展にとって有益なのかどうか。大きな疑問があるところです。議員の方々の御判断を仰ぐところであります。
 次に、株式会社という形態が、学童保育所運営に合致するのかどうかという点についてです。今まで5回の指定管理者選考が行われてきているのですが、株式会社の応募はプロケアを含めて6会社です。指定を受けているのはプロケアのみ。ある株式会社はこれまでに4回応募しているのですが、1度も指定を受けるには至っていません。指定管理者制度導入から5年の経験ではありますが、学童保育所の指定管理という仕組みが株式会社という組織形態に合っていないと言えます。つまり、企業として学童保育所運営のノウハウを積極的に積み上げてきていないからであります。さらに言うならば、指定管理者制度に学童保育所の管理運営がなじまないということは再三指摘されてきています。5年という有期限の契約は保育の継続性、安定性を失わせるものです。同じ事業所への指定であるならば、混乱も少ないでしょうが、先の契約が保障されているものではありません。実際に別事業所から引き継ぎを受けたところからは、引き継ぎに関する多くの課題も出されているところです。  指定管理者制度の導入ということは毎回事業体がかわるという不安定を児童や事業体にもたらすことでもあり、先を見通した経営が困難となります。そして、その影響を受けるのは子どもであり、また、そこで働く人たちであります。また、どこも応募しないという状況も今後あり得る可能性があるわけです。これでは市が責任を持って学童保育事業を遂行するということにはなりません。
 保育事業とは信頼関係の上に成り立つものであり、また1学校区1学童保育所が整備されてきた今、保護者は選択の自由度や多様な保育よりも、安心して預けられる保育環境をより一層願っていると言えます。来年は社会福祉協議会が指定を受けている学童保育所40ヵ所が、5年という契約期限を迎えます。障害児童などの利用も増加してきていることから、職員のスキルアップも求められています。  また、契約という働かせ方、低賃金の有期限雇用など、社会的にも大きな問題となっています。しっかりとした職員の人材育成が図られ、安定的に仕事を続けられるということが結果としていい保育を生み出すものであることを考えるならば、今まで八王子市の学童保育事業にかかわってきている社会福祉協議会との連携、サポートを深める中で、市内NPOなどの子育てサポート組織の育成を市は積極的に図りながら、今後の体制を取り組んでいただきたいと思います。つまり来年度からの学童保育所の管理運営の基本方針として市内業者並びに市内に拠点を持つことの徹底、指定管理者制度の見直しを要望して反対討論といたします。
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