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2010年_予算等審査特別委員会(第6日目)
平成22年度一般会計予算等に対する意見
平成22年度一般会計予算等に対する意見
◎陣内泰子委員 それでは、市民自治の会の陣内泰子です。2010年度八王子市一般会計及び各特別会計予算、並びに関連諸議案について、意見を申し上げます。
 新年度予算は、一昨年来の経済不況の影響で、法人市民税及び個人市民税の落ち込みで市税収入は42億6,000万円減という厳しいスタートです。予算編成に当たっては、財政調整基金の取り崩しと臨時財政対策債の借り入れで多様な市民のサービスの向上を図り、八王子ゆめおりプランに基づく施策を着実に達成できるよう、全力を挙げ取り組んだと説明されています。大変厳しい予算編成であったことがうかがわれますが、少しでも市民サービスを向上させるようにと、限られた財源の中で各担当所管をはじめ、職員の方々が御努力されたことについては十分理解できます。
 詳しくは後に述べるとして、大枠を概観すると、今、市が抱えている問題解決として、一般財源からの繰出金で国保税の値上げを踏みとどまり、かつ生活保護支援の強化が図られたことは評価いたします。また、教育費においても、学校サポートの仕組みを強化し、決して多いとは言えませんが、スクールソーシャルワーカーや学校図書館サポーターなどの人的経費がついたことも一歩前進です。市債残高についても、市長就任時3,200億円に迫ろうとしていたものを、2010年度末においては2,400億円程度までに縮減できるとし、その御努力には敬意を表します。
 このように、前提として、所与としての財源配分、歳出構成については、単年度並びに個別課題について見るならば評価できる点も多々あるわけですが、果たしてこの予算が持続可能な自治体運営という観点から見て妥当なのかどうか、疑問であります。
 まず、市民ニーズの把握、課題把握についてであります。昨年秋に公表された実施計画をもとに新年度予算が編成されているわけですが、12月の一般質問においても言及いたしましたが、予算編成過程の公開、市民との事業選択の討議、透明性ある事業仕分けなどにより、実施計画そのものの見直しが強く求められているのではないでしょうか。
 2010年からの向こう3年間の税収減は、実施計画上で比較するならば、2009年のものと2010年を比較して184億円の減です。それに対して、83億円の事業縮減をし、さらに市債を239億円借りるという、これをベースにしての予算であったわけです。この時点で既に身の丈以上の実施計画になっており、借金依存体質と言えます。市債は減ってきているということではありますが、それは下水道整備終了に基づく下水道債の縮減が寄与していることであり、減少は鈍化しており、今年度、そして新年度一般会計において、返す以上に借りないとのルールは守られていません。しかも、全会計における財政規律さえも、今後も守られていくのかどうか、また、守れるのかどうか、大変厳しい状況と言えます。しかも、今年度、臨時財政対策債を41億5,600万円を借り、さらに新年度においては限度額ぎりぎりの60億円を借りざるを得ない状況でもあります。まさにこういった借金は、学校や道路などの建設に際して説明される、公平性の観点からの後年度負担、つまり負担の平準化のための借金ではありません。家計や収入を無視してクレジットカードでキャッシングを繰り返すようなものと言えます。本市の場合、急激な伸びとなった扶助費の対応となっているようではありますが、今まで南口再開発事業が最優先課題とされ、生活保護担当の職員増が図られず、十分な対策が図られてこなかったツケでもあると言えます。このような開発事業は、一たんスタートするならば、凍結あるいは見直し等が大変困難であり、事業費増の負担も含めて、市民生活への影響ははかり知れませんし、箱物の維持管理費増はずっと続くものとなります。
 南口再開発事業の一定程度の収束目途が立ったことと時期を同じくして、旭町・明神町地区のまちづくり検討が予算化されております。川口物流拠点構想、インター北地区の開発についても同じであります。この旭町・明神町地区の事業については、昨年秋の実施計画上に初めて掲載され、9月補正で調査委託費が計上。新年度予算では、まちづくり構想の策定予算となっています。八王子商工会議所は、八王子商工会議所のチャレンジとして、まちづくり戦略考−JR八王子駅周辺まちづくり構想という大規模なまちづくりイメージを公表しています。この構想は、中央道インター北地区の有効活用、圏央道八王子西インター周辺物流拠点地域と並ぶ、八王子の3つの戦略的拠点地域の1つとされているわけですが、まさに黒須市長の思いと同じなのですが、市民不在と言えます。
 そして、こういった3つの大規模開発計画を効率的・効果的に進めていくことを意図してなのかどうかはわかりませんが、急遽、新年度予算で、八王子市都市政策研究所の新設が予算化されています。地方分権の進展や社会情勢の急激な変化により、的確に対応できる体制整備と説明されているのですが、都市政策研究所の新設は実施計画にも盛り込まれていないものです。本来なら、実施計画に盛り込まれていなければ事業化できないと言われていたもので、まさに総合政策部のフライングではないでしょうか。今の時代状況の中でまちづくりを考える場合、高齢者や障害者、そして貧困克服への視点、環境配慮が第一義的に優先されなければなりません。さらに、有効性や費用対効果、計画性や透明性も担保されなければなりません。そして何よりも、市民の税金を使うのでありますから、市民の直接的な参加なしに進められてはなりません。
 衛生費についてです。八王子小児病院がとうとう閉鎖になり、府中小児総合病院への統合となりました。これで八王子市内からNICU9床、並びに小児病棟の減となりました。跡地整備に関し、土地は無償譲渡ではなく、4億円での払い下げという結果であり、この点についてはそれ以上の施設整備補助を東京都から引き出したということではありました。これをどう見るかということではありますが、ここに至るまでの関係所管の交渉の御努力には経緯を表するものではありますが、出産時における低体重児がふえている中、八王子からNICUがなくなり、中核病院への設置に関してもまだ目途が立っていない状況を考えると、府中小児総合病院を充実したからいいというものではありません。府中小児総合病院のあの豪華な施設を少し削ってでも八王子小児病院を残し、地域医療の核にするという働きかけができなかったことを残念に思います。今後は少しでも早く中核病院へのNICU設置、小児医療への充実を求めます。
 教育費についてです。新年度は、さきに述べたように人的予算が一歩前進ではあります。しかし、税収が同規模であった2006年のときと比べて、一般財源から支出される教育費は減少をしています。中学校給食がスタートしているにもかかわらず、一般財源に占める教育費が落ち込んでいるということは、学校配分予算の削減などにあらわれているように、教育のソフト面がなかなか充実してこないということであります。学校図書館サポーターとしても2人の嘱託員増で107校全部を巡回指導するのに5年かかるということで、あまりにも貧弱であります。また、基準財政需要額に上乗せされている1校120万円を基準に特別支援教育支援員費が配分されているわけですが、文部科学省によれば、新年度、さらにそれを拡充していると言えます。八王子予算からその拡充は読み取れません。特別支援教育に使われる予算は7,000万円余りであり、昨年よりふえているとはいえ、文科省が意図している用途の半分でしかありません。どの子も望むところで安心して学ぶことができるサポートが急務であると言えます。
 以上、見てきたように、新年度予算は持続可能な自治体運営という観点から見ると、取り組まなければならない課題山積の中、それに取り組むだけの余力がなかなかなく、かつ開発によってのまちづくりという従前の手法に固執し、新たなまちづくりのプランを提示できないでいることを指摘して、意見といたします。
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